大阪一等地オフィスビルはガラガラ 空室率過去最悪、計画見直しも

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   大阪市中心部のオフィスビルの供給過剰が深刻な問題となっている。2008年秋のリーマン・ショック前の好況期に計画された大型ビルが既に着工しており、14年まで新築ラッシュが続く。一部のビルは完成を迎えたが、首都圏に比べ景気回復のテンポが遅い大阪では、新築ビルのオフィスが埋まらず、空室が目立つ。

   不動産仲介の三鬼商事によると、2010年4月末の大阪中心部のオフィスビルの空室率は前月比0.86ポイント悪化の11.86%となり、過去最悪となった。東京都心の空室率は8.82%で、大阪のオフィスビルの供給過剰ぶりが浮き彫りになった。

入居済みは約3割というビルも

   大阪・梅田のJR大阪駅周辺では5月6日、関西最大級のオフィスビルが開業したが、入居済みはオフィス面積の約3割。大阪の一等地に完成した高層ビルのオフィスがガラガラという異常事態で、在阪の不動産関係者は供給過剰を深刻に受け止め始めている。

   5月18日には、日本郵政とJR西日本が大阪中央郵便局旧局舎跡(大阪市北区)に建設する高層ビルの計画延期を発表した。こちらもJR大阪駅前の超一等地に位置する大阪中央郵便局の跡地に高層ビルを建設し、オリエンタルランドが劇場を運営する計画だったが、白紙撤回になった。周辺ではJR貨物駅跡地を再開発する「梅田北ヤード」が3月末に着工し、12年度には完成する予定だ。

   大阪市中心部のオフィスビルの空室率は、ITバブルが崩壊し不動産市況が低迷した03年6~7月の11.01%がこれまでのワースト記録だった。しかし、今後の供給過剰で、年内には12~13%に悪化する可能性も指摘されている。今後、大阪市中心部では続々と新築ビルが完成する予定で、2010年だけでも過去10年間で最多だった09年の新規供給面積と並ぶ約46万平方メートルのオフィスが供給されるという。

   首都圏に比べ、大阪市中心部のオフィスビルに空室が目立つのは、景気低迷と供給過剰だけが理由ではない。大阪市に本社を置く企業が東京に本社を移転する構造的な要因も指摘されている。総務省の調査によると、大阪市に本社を置く企業は過去10年で約2割減少した。大阪の本社機能の東京移転で、大阪のオフィスビルは需要面からも縮小しているというわけだ。

アジアを始めとする外資系企業を誘致?

   需要が増えずに供給ばかりが過剰になる現状では、新築ビルのオフィス賃料も下落せざるを得ない。大阪の平均賃料は過去10年間で約2割近く下がった。底入れしたとされる東京に対して、大阪では今後もさらなる下落が続くと予想される。

   しかし、そこは大阪の反撃のチャンスと見る向きもあるようだ。「大阪なら東京都心のほぼ半分近い賃料で、東京よりも広いピカピカのオフィスに入居できる」(大手不動産会社幹部)とあって、ターゲットは外資系企業の日本法人だ。外資系企業の日本法人は約7割が東京に拠点を置いているが、高額なオフィス賃料や社員の家賃が頭痛の種。

   インターネットが発達した現在、外資系企業の日本法人が必ずしも東京に拠点を置く必然性はなくなっている。関西国際空港はじめインフラが整っている大阪であれば、オフィス賃料の安さから、アジアを始めとする外資系企業を誘致することも可能という。果たして、大阪のオフィスビルの需要を高め、経済活性化に役立つセールスが可能か、今後の取り組みが注目される。

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