体調が悪いと感じた人が、思いついたキーワードを使ってインターネットで症状を検索した結果、誤った自己診断をしてしまう――。検索エンジン「グーグル」の名を冠した、このような「グーグル症」にかかる人が増えているという。
勝手に「自分は重病だ」と思い込む。医師の診察を受けても「ネットで調べた治療方法と違う」と信用しない。こうした「素人判断」はかえって症状を悪化させる方向に導きかねない。医師にとっては、自分の診断や治療法の有効性を患者に納得させる必要もあるという。
深刻な病名が出てくると「これだ」
米サウスタウンスター紙(電子版)は2010年5月16日、「増加するグーグル症」という記事を掲載した。グーグル症(英文「Google-itis」)とは記事中に登場する医師による造語。自分の病状を知ろうとネットで検索した結果、サイトに書かれている治療法を鵜呑みにしたり、深刻な病名が出てくると「これだ」と思い込んでしたりする「症状」だ。
記事中の医師は、例えば患者の首のリンパ腺部分が腫れていると、まずウイルスや感染症を疑うという。だがキーワードで検索すると、リンパ腫や白血病と言った重病も出てくる。これらはいわば「最悪のシナリオ」なのだが、それでも「自分がこの病気だったら」と不安に駆られて、医師が正しい診断を下しても納得せず別の検査を求める患者もいるようだ。
日本語で「首、リンパ腺、腫れ」と入力して検索してみると、当てはまる症状を解説するサイトがいくつも出てきた。中には「悪性リンパ腫」「リンパ節結核」という病名もあり、「自分はこの病気では」と自己判断してしまう人がいるかもしれない。
ライブドアブログでは「グーグル症」について、議論があった。「症状を調べて最悪を想定して医者に行くのはなにも悪いことじゃない」との意見がある一方で、「中途半端に知識あると自己診断しちゃうんだよね」「医者も大変だな。ネットで得たにわか知識で自分の命を診断しようとするやつがいる時代じゃ」など、ネット検索だけに頼るのは危ないという見方もある。