携帯電話の大半にワンセグ機能が搭載されるなか、「ワンセグにも受信料はかかるのか」という問題がクローズアップされつつある。NHK側は「別世帯の場合は、別に受信料を支払う必要がある」との立場だが、国民生活センターには「『ワンセグを持っている』と言ったら契約をさせられた」という相談も寄せられており、波紋が広がっている。
放送法では、NHKを実際に見ているかどうかに関係なく、NHKを受信できる設備を持っている人は、受信料を支払う契約をする必要があることになっている。
自宅で受信料を払っている場合は支払いなし
具体的には、第32条の
「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」
という文言が根拠とされている。
NHKの受信契約は世帯単位なので、自宅で受信料を払ってテレビを見ている場合は、2台目以降のテレビやチューナー付きPC、ワンセグを購入したとしても、新たな負担が発生することはない。
だが、問題となるのが、会社員が単身赴任したり、大学生が下宿する場合だ。これらのケースでは、自宅や実家とは別世帯の扱いになるため、テレビがあれば、新たに受信契約を結ぶ必要がある。だが、大学生の場合「テレビは置いていないが、持っているケータイにはワンセグは付いている」というケースも少なくない。この様な場合は、どうなるのか。
NHK広報局に問い合わせてみたところ、返ってきた答えは
「ワンセグ機能が付いている携帯電話も、放送法第32条によって規定されている『協会の放送を受信することのできる受信設備』に該当しますので、受信契約の対象となり、受信料のお支払いが必要になります」
というもの。
「契約解約にはテレビや携帯を処分する必要がある」?
実際、NHKは「テレビはないがワンセグは持っている」という人に対しては
「通常のテレビを設置された方と同様に、受信契約の締結をお願いしています」
との方針を明らかにしている。もっとも、このやり方には反発もあるようで、国民生活センターには、10年4月だけでも
「独り暮らしの息子が、『テレビが受信できるケータイを持っているか』と聞かれ、『はい』と返事をしたら、受信料を払わされる契約をさせられた。息子は、『テレビは見ないから解約したい』と言っている」(20代男性の親)
「公共放送の受信契約を解約したいと思い、事業者に申し出たところ、解約するためにはテレビや携帯電話を処分する必要があるという。本当か」(40代女性)
といった声が寄せられている。
ワンセグは、放送開始(2006年12月)からおよそ3年半が経過しており、テレビを視聴する手段としてある程度定着している。その分普及率も高く、電子情報技術産業協会(JEITA)の10年4月の移動電話国内出荷台数実績によると、携帯電話のワンセグ搭載率は80.7%にのぼる。
「気がついたら契約の義務を負っている」ということにもなりかねず、機種選びには注意が必要だと言えそうだ。