店ごとに創意工夫に富むオリジナルメニュー
王将の全国の店舗の売り上げは、本社の担当者が毎日管理する。売り上げが落ち込む店舗については本社が原因究明に当たり、料理の味付けから店舗運営まで徹底して改善に取り組む。この結果、料理の質やサービスの店舗間格差がなくなり、全体的な底上げにつながった。さらに、各店の店長にある程度の裁量権を持たせているため、店ごとに創意工夫に富むオリジナルメニューがあるのも、ファミレスにはない王将の魅力となっている。
前出の「オープンキッチン」とは、客席から調理の様子が見える店内の厨房のことだ。ファミリーレストランが工場で一括して調理した料理を冷凍し、各店舗では温めるなど最小限の手間をかけるだけにしているケースが多いのに対して、王将は食材などを本社が一括購入するものの、各店舗で料理人が材料を刻み、その場で調理する方法をとっている。王将はファミレスにはない出来立てや手作り感を「売り」にしているのだ。
王将はバブル期の不動産投資がかさみ、2002年には創業以来、初の赤字に転落したが、00年に就任した現在の大東(おおひがし)隆行社長が「オープンキッチン」をファミレスにはない王将の魅力と位置づけ、経営改善に取り組んだ。王将も一時はファミレスと同様、工場で調理し、店内で温める「クローズトキッチン」の導入を進めたが、大東社長が中華料理店の原点である「オープンキッチン」に戻したという。ギョーザを焼いたり、チャーハンを炒めたりする音が厨房から聞こえるオープンキッチンはファミレスとの差別化につながり、今日の王将の躍進に結びついた、といえる。