大きく舵を切れたのは「北朝鮮のおかげ」?
こうした中、「鳩山退陣」の論調が急速にしぼんだように見える。2010年5月24日付の新聞各紙の社説では、産経新聞が「『辺野古』で合意まとめよ」と、鳩山首相の決断を支持した。現行案を、地元も一たんは受け入れていることや米国側が「最善の案」としていることをあげ、現実的と評価している。
具体的な工法や建設場所が秋まで先送りされたことを問題視し、「秋まで待つことはない。直ちに辺野古移設に取り組むべきだ」と主張している。
読売新聞は「決断先送りのツケは大きい」と題し、「致命的な判断ミスであり、首相の罪は重い」と断じながらも、普天間飛行場の人口の少ない県北部への移設や米海兵隊8000人のグアム移転、普天間など米軍6施設を返還することなど、「日米合意の実施が地元にとっても負担軽減になることを丁寧に説明することが大切」と説いている。
毎日新聞や朝日新聞も現行案での決着に、「5月決着を取り繕うもの」と厳しめではあるが、首相の責任にふれてはいない。
前出の山村明義氏は、「官邸では、首相が米国よりに大きく舵を切ったのは韓国の沈没船問題、つまり『北朝鮮のおかげ』といった声さえあがっている。5月28日の日米共同声明をもって決着をつけた形にするのでしょうし、いまは3党合意さえしのぎ切れば7月の選挙までは続投との読みが大勢。結局、民主党内にも鳩山首相をクビにするだけの人材がいなかったということです」と話す。