国内デフレに韓国勢との戦い 大手電機業績回復でも楽観できず

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   大手電機各社の2010年3月期決算が出揃った。08年秋のリーマン・ショックのあおりで記録的な赤字を計上した前の期から一転、大手8社がそろって営業黒字になった。

   しかし、全社が売上高を落としており、専らコスト削減によるものだ。韓国のサムスンなどとの競争も一段と激しくなるだけに、各社がどう成長戦略を描くか、これからが正念場だ。

各社とも海外の強化が至上命令

   09年3月期に7873億円という空前の最終赤字を計上した日立製作所が10年3月期は最終赤字1069億円まで回復、11年3月期は1300億円の最終黒字を見込むように、09年3月期に営業赤字を記録したソニー、東芝、NEC、シャープも10年3月期は営業黒字に転換。日立のほか、10年3月期の最終損益が赤字のパナソニック、ソニー、東芝を除き、4社が最終黒字を確保した。11年3月期は全8社そろって最終黒字を見込む。

   業績回復の原動力はリストラによるコスト削減。10年3月期に、日立が拠点の統廃合や資材調達の効率化などで経費を6400億円削減したほか、パナソニックも固定費など8800億円、ソニーが3300億円を削減するなど、8社のコスト削減は計2兆円規模に達した。

   少子化、高齢化が進み、デフレ脱却の見通しも立たない国内市場は、今後の成長は望めないところ。このため、各社、海外の強化が至上命令。日立、東芝など重電を抱えるところは、原発をはじめとする新興国、途上国の社会インフラ需要の取り込みに懸命だ。

   家電では薄型テレビが今後の業績を大きく左右しそうだ。11年3月期のテレビの販売目標は、パナソニックが前期の1580万台から2100万台に、ソニーは1560万台から2100万台に、シャープも1018万台から1500万台に、といった具合。3D(3次元)の新製品が新たな需要を開くと期待している。

韓国LGは薄型テレビで日本に再参入

   だが、社会インフラ事業は、今や国家を挙げた争奪戦になっており、アラブ首長国連邦の原発入札で官民一体の韓国勢に敗れるなど、先行きは甘くはない。

   テレビなども、サムスンの今年度の設備投資と研究開発投資は、液晶や半導体を中心に計2兆円の計画。ちなみに日本勢で最大のパナソニックが1兆3000億円だ。また、韓国のLGは薄型テレビで日本に再参入する。テレビで1、2位のサムスン、LGは今年度、それぞれ前年度より1000万台近く多い3900万台、2900万台を販売する計画で、日本勢を突き放そうとしている。このほか、新興国、途上国の新中間層をターゲットにした中・低グレードの家電市場も、これら韓国勢との争いになる。

   「前門の国内デフレ、後門の韓国勢との戦い」(業界関係者)をいかに勝ち抜くか、日本の電機各社の真価が問われる。

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