高校生のツイッター利用を巡ってネット上で議論が起きている。現状では、フィルタリング機能に邪魔されて、高校生は携帯電話からアクセスすることはできない。そこへ、孫正義ソフトバンク社長が記者会見で「そんなことを許してはならない!」と激怒、この制度への疑問が急浮上した。
高校生の携帯フィルタリングについては、2008~09年に、総務省の要請を受けた携帯キャリア各社がフィルタリングサービス加入対象を「希望者」から「18歳未満の契約者は原則的に加入」に変更。高校生は原則として、出会い系サイトのほか、「コミュニケーションサイト」と言われるカテゴリのサイトにアクセスできなくなった。
「早くから使わせないと一生使えない」
ツイッターもこの「コミュニケーションサイト」に分類されるため、高校生は携帯電話から「つぶやき」の、投稿も閲覧もできない。
こうした状況に対し、2010年5月17日、「ツイッター対応ケータイ」を発表したソフトバンクの孫社長が会見で、「大人と学生がコミュニケートできない、そんなナンセンスなことを許してはならない。そんな決まりがあるのであれば、即刻変えねばならん!」と激怒。現在ツイッター上で議論が広がっている。
高校生ツイッターユーザーとして知られ、ツイッター上で孫社長にもフォローされている梅崎健理さん(16)は、こうつぶやいている。「携帯電話は包丁と同じだ。使いこなせば、便利なツールであり、間違えれば凶器。しかし、早くから使わせないと一生使えない」。ツイッターが使えるか否かの環境の違いで情報格差が生まれることを懸念、フィルタリングの見直しを訴えたものだ。
梅崎さんの意見に対しては「高校生とは言え、もういい大人なんだから情報の選別は自分でするべきだ」と支援するコメントもある一方で、「ツイッターが『出会い系』として使われる可能性もある」といった意見も寄せられている。
「携帯からのツイッター規制、余り意味がない」
また、千葉大学教育学部の藤川大祐教授はツイッター上で、アクセスは禁止してもいいが、高校生には「弱いフィルタリング」を設定して解除するのが現実的だ、とした。「閲覧のみに関してはフィルタリングを通してもいいですね。書き込みについてはデフォルトで通すのはさすがにまずいでしょう」という見解だ。
ITジャーナリストの津田大介さんはJ-CASTニュースの取材に対し、ツイッターが規約では13歳から利用できることを指摘したうえで、
「高校生もPCからは使っているわけです。そもそもリアルタイムでコミュニケーションできるサービスは他にもありますし、携帯からツイッターを利用できなくしたところで余り意味がありません」
と語る。
一方で、「ミクシィ」や「モバゲー」といったサイトにはフィルタリングがかけられていない。これは、「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」によって「健全」サイト認定されているためで、ツイッターも認定されればフィルタリング解除される。だが、「パトロール体制」などの細かい項目をクリアする必要があり、津田さんは「ツイッターは海外の会社なのでそうしたインフラを整備するのは現実的に難しいでしょう」としている。