南が軍事的対応すれば、いつでも北は受けて立つ
さらに、犯行を全面否定している背景については、
「今回は、北朝鮮が魚雷で哨戒艦を撃沈しています。奇襲攻撃です。武士で言えば辻斬り。つまり、やってはならない『禁じ手』です。戦果を誇るために『やった』と言いたいのはやまやまでしょうが、やられた側が(北朝鮮の犯行だと)分かっていれば十分。自分から、わざわざ言う必要はありません」
と、やはり国際社会の目を気にしている様子だ。
南北関係をめぐっては、94年3月に板門店で行われた南北実務者協議で、北朝鮮側の代表団が
「ソウルは軍事境界線から遠くない。戦争になれば、火の海になる。あなたも生き残れない」
と発言するなどして南北間の緊張が一気に高まったことが記憶に新しい。このときは、94年6月にカーター元米大統領が訪朝して故・金日成主席と会談し、危機を回避したが、今回はどうなるのか。
辺氏は、ボールは韓国側に投げられているとの見方だ。
「戦争になるかどうかは韓国次第。南が軍事的な対応をすれば、いつでも北は受けて立つ。北は『目には目を歯には歯を』の国です」
さらに、強硬姿勢をとった場合には、韓国側にも損失が多いとして、自制を求めている。
「南側が軍事的・外交的・経済的いずれの面でも懲罰的措置をとった場合は、『返り血』も多いはず。さらに、紛争が大きくなると、国際社会の目が北朝鮮に集まり、北朝鮮を結果的に利することになります」
事件では、韓国政府が国連安全保障理事会の場で北朝鮮に対する制裁措置を行うことを目指しており、日米もこれを後押ししている。
来日中のクリントン国務長官は2010年5月21日の会見で、
「46人の兵士の命を奪ったことを強く非難する」
「北朝鮮にとって強いメッセージを発するべきだ。挑発行為には報いがある」
と、強硬姿勢を強調してもいる。クリントン国務長官は、この後相次いで北京とソウルを訪問し、事件についての対応方針を各国と詰める予定だ。この歴訪で、制裁措置がどこまで現実味を帯びてくるかが注目されそうだ。