これからも「クスッ」と笑えるプロモーション続けたい
――体操の内容は誰が考えたのでしょうか。
ナルバック 元新体操選手でロサンゼルス五輪とソウル五輪に出場し、現在は体操コーチを務める秋山エリカさんに指導をお願いしました。ただし、「演目」を考えたのは私を含めた制作チームの全員です。
商品名の「TAIKAN」は、「体幹」の意味です。体の幹の部分がしっかりしていないと、ほかの部分をいくら鍛えても最大限の運動能力が発揮できません。これは、ラジオ体操に込められたメッセージでもあると私は思うのです。同時に、長年親しまれてきたラジオ体操は、「日々健康で過ごしたい」という人々の心に響くものだと感じました。その思いを大事にしながら、多くの人に見てもらうためインパクトのある内容を心がけて制作にあたりました。
――ご自身は、「ラジオ体操」のご経験はありましたか。
ナルバック いいえ、この映像を作る前は経験ありませんでした。おそらく他の国の人は、ラジオ体操を知らない人が多いでしょう。私のような「非日本人」にとっては最初、日本人は朝起きて学校や会社に出かける前にみんなこういう体操をするのか、と少し面白く感じてしまいましたが、一度体操を見て、日本の文化に合ったスポーツへの親しみ方はこれなんだな、と理解しました。
動画サイトのコメント欄には「凄い」「こんなのできないよ」という書き込みがあり、ブログに取り上げた人もいました。私自身も「挑戦してみよう」とはとても思いませんでしたね(笑)。映像は「日本文化」としてのラジオ体操に少しひねりを加えて、スポーツする人、しない人いずれにも分かりやすく、強い印象を残せたのではないかと思います。
――今回のような手法での商品プロモーションを今後予定していますか。
ナルバック ええ、もちろんです。さまざまな商品が溢れる中で、どうすれば面白いメッセージを伝えていけるかが重要です。これからも「クスッ」と笑えるような、創造的かつ斬新なプロモーションを続けていきたいです。
ジェイ・ナルバック(Jay Nalbach)
アディダスジャパン株式会社 リーボックジャパン ブランド・ディレクター
1995年にアディダスへ入社。マーケティング、マーチャンダイジング、主要顧客管理(キー・アカウント・マネージメント)、セールス、ソーシング、ビジネス・ユニット・マネージメントなど、様々な業務を15年以上に渡り従事。その間、グローバル及びリージョナルの組織規模での業務に携わり、オレゴン(米国)、アムステルダム(オランダ)、ロンドン(英国)、ボストン(米国)など多岐に渡るマーケットを担当。現在は東京での勤務に至っている。