「今さらの受け入れは極めて厳しい」
「地元3区の容認」は今も「生きて」いるのだろうか。区長に連絡を取ろうとしたが、関係者によると、ある区長は「マスコミの人が、誰からかケータイ番号を聞き出したようで、頻繁にかけてくるようになったので電話を取らないようにしている」と話していたという。
地区住民のある女性に「3区の容認」について質問すると、「少なくとも私の周りの空気ではゼロベースに戻った。前の容認はもう無効ですよ」と話していた。
ある名護市議によると、5月中旬にアメリカ総領事館の担当者と市議数人が会って意見交換し、移転先は辺野古だとアメリカ側が考えているとはっきり分かったという。明言はしなかったが「現行案回帰」を歓迎している空気がにじんでいた。
一方、別の名護市議に話を聞くと、「今さらの受け入れは極めて厳しい」と話した。市議の中には元容認派だったが、鳩山首相の「最低でも県外」に期待を寄せ反対派に転じた人もいる。「以前に容認していたからやっぱりよろしく」と言われても、今さら受け入れられない市民もたくさんいると見ている。
「国が辺野古移設を強行すれば、大袈裟ではなくて暴動が起きはしないか、と心配だ」
もっとも、候補地として浮上してから13年も自民党政権下で膠着状態だった問題が簡単に解決するはずもない、という思いもある。しかし、それでも鳩山首相に望むことは、「ここまで来たら『県外』の約束を守るしかない」。さもないと「いろんな沖縄の不満がいろんな所で吹き出してくる」。
ほぼ現行案に戻せば「状勢も元に戻る」という訳にはいかないようだ。