焼きそばと生クリームパン、うどんとたこ焼き、メロンパンと煮物――まか不思議な組み合わせの学校給食が話題になっている。栄養士がバランスを考えて献立を作っているはずなのに、なぜこうなるのか。
『変な給食』(幕内秀夫著、ブックマン社)では全国の公立小学校で実際に出された給食を再現し、写真付きで紹介している。2009年12月12日に発売して話題になり、2010年5月時点での発行部数は4万5000部にのぼる。
ジャムトーストにみつ豆??
パンと麺類のように炭水化物が異様に多い給食、菓子パンとしょっぱいおかずの味覚がおかしくなりそうな組み合わせ、串焼きや軟骨からあげといった居酒屋で出てくるようなおかずが入ったものなど73パターンの「変な給食」が載っている。
沖縄市の小学校で、カレーうどん、アメリカンドッグ、おぐら白玉、牛乳が09年1月9日に出た。うどん、アメリカンドッグの外側の部分、白玉はすべて炭水化物だ。ミルク食パン半分、煮込みうどん、五目まめ、清見オレンジ、牛乳(神奈川県川崎市09年3月3日)や、ピザ、変わりチャンポン、ヨーグルトポンチ、牛乳(東京都江戸川区05年5月27日)も炭水化物が多い。
甘いものが2つも入った給食も登場する。ジャムトースト、酢豚風、みつ豆、牛乳(東京都調布市08年5月13日)、チョコチップパン、ワンタンスープ、たこ焼き、ジョア、アイスクリーム、牛乳(神奈川県川崎市04年10月29日)、揚げパン、洋風卵スープ、杏仁豆腐、牛乳(東京都文京区08年9月9日)などで、糖分が多そうだ。
また、ハンバーガー、ピザ、ラーメン、菓子パンも多く、幕内さんは「まるでファーストフードのオンパレード」で、6年間も食べたら健康問題だけでなく味覚形成の上でも大きな影響があると指摘している。
「見えないところでいろんな制約がある」
学校給食の献立は栄養士が考えている。その際に参考にしているのが、文部科学省がエネルギーやタンパク質など栄養素の摂取量を定めた「学校給食摂取基準」だ。例えば6~7歳の場合、給食1回あたりのエネルギーは560キロカロリー、タンパク質が16グラム、カルシウムが300ミリグラムなどと細かく決まっていて、栄養士は基準を守り、1カ月単位で献立を考える。
40年間、学校栄養職員として勤めた関春子さんは、
「学校給食摂取基準のほかにも、見えないところでいろんな制約があり、栄養士はもんもんと悩みながら献立を考えています」
と明かす。
例えばラーメンの場合、ほとんどの学校で専用のどんぶりではなく、普段、味噌汁などの汁物を入れるお椀を使っている。これでは麺が少ししか入らず、エネルギーが足りないという。足りないエネルギーを麺に合うおかずで補おうにも、予算、設備、調理スタッフの数といった制約がある。結局、付け合わせをパンにせざるを得ないことがよくあるそうだ。
また、お菓子のような甘い物が入っているのは、生徒の要望を取り入れているから。最近の子どもはチョコレートなどの洋菓子を好み、揚げパンは今も昔も変わらず人気メニューとなっている。一方で気になる糖分については「さほど多くはないはず」という。