ソニーや日産など外国人がCEOを務めるグローバル企業では、社内で英語が使われるのは当たり前と言っても良く、「公用語」が英語というケースも珍しくない、ところが、国内事業がメインの楽天でも、英語の「公用語」化を目指す動きが進んでいる。役員会などだけでなく、一般会議や社内の掲示も英語になりつつある。世界企業になるために、「まずは内なる国際化を進める」というのだ。
日産自動車は、仏ルノーとの提携を発表した1999年3月の時点で、社内の「公用語」を英語とすることを表明。翌2000年にはカルロス・ゴーン氏が社長に就任し、一気に「公用語化」が進んだ。
三木谷社長の強い意向が働く
2006年に英ガラス大手「ピルキントン」を買収したことで話題になった日本板硝子も、社内公用語は英語だ。同社は世界29か国に拠点を持ち、従業員の8割が外国人だ。同社はピルキントンから外国人CEOを迎えたが、09年9年に「家族との時間を大事にしたい」として突然帰国。日本人が後を継いだが、10年6月からは「日本に住む」を条件に、再び外国人が登板する。
そんな中、国内を中心に事業展開をしている楽天も、英語の公用語化を進めている。三木谷浩史社長が2010年5月13日の決算説明会の場で表明したもので、「コミュニケーションを英語にすることで、国際化を進めたい」などと話した。広報部では、「世界企業になるために、『内なる国際化』を進めるのが目的。少しずつ進めている」と説明しているが、これには三木谷社長の強い意向が働いている様子だ。
ツイッター利用者としても知られる三木谷社長だが、10年1月末頃から、英語での書き込みが目立つようになり、社内の「英語化」の様子を数多く綴っている。
カフェテリアのメニュー、エレベーターのフロア案内も英語
例えば3月1日には、
「初めての英語での経営会議です。本当に楽天を国際化するための大きなステップ」
と経営会議を英語化したことを明かしており、3月15日には、ツイッター利用者から
「楽天の社内は、英語が公用語ってほんとですか?」
と質問され、「まだ」(Not yet)と回答。英語の「公用語化」を進めたい意向を明らかにしている。
また、同社では、月曜日の午前8時に全社員が集まる「朝会」と呼ばれるミーティングを行っている。新年度の最初の月曜日にあたる4月5日には、
「今日の全社ミーティングは100%英語。うまくいっている!」
と、上機嫌で、
「いまのところ、英語の役員会は、すごく上手くいっています!」(4月24日)
「初めての英語でのeコマース(電子商取引)に関する会合です。思っていたより、ずっとうまくいった!」(4月30日)
と、他の社内会議についても同様だ。
広報部によると、カフェテリアのメニューや、エレベーターのフロア案内も英語化が進んでいるという。
なお、三木谷社長自身はハーバード大でMBA(経営学修士)を取得しているが、現段階では、社内に「TOEICのスコアは何点必要」といった指針は設けられていないという。完全に英語が公用語になるまでは、もう少し時間がかかりそうだ。