法案採決時に転倒してけがをした民主党の三宅雪子衆院議員(45)の「問題の瞬間」を捉えた動画が注目を集めている。中には100万回以上再生されたものもある。「背後から押された」とする三宅議員の主張には多くの疑問の声が寄せられているが、本人は強く自作自演・パフォーマンス説を否定している。
三宅議員は2010年5月18日、朝の情報番組「スッキリ!!」(日本テレビ系)に電話生出演した。司会の加藤浩次さんは、映像を見ても三宅議員が甘利明・元経済産業相(自民党)から押されているようには見えない、とズバリ質問した。民主党は14日、三宅議員のけがに関連して甘利議員に対する懲罰動議を衆院議長あてに出している。
共産宮本議員も「自分で転んじゃって…」発言認める
質問に対し三宅議員は「後から力が働いて足がからまって倒れたのは事実」と説明した。懲罰動議については、民主党が映像を検証し関係者の話も聞いた上で出した結論なので「議論は終わったと思っている」との考えを示した。「力」が甘利議員なのかは、自分は当時分からなかったが、党の検証結果を信じるということのようだ。
自民党の馳浩衆院議員がブログ(5月13日)で、エレベーターで一緒になった三宅議員が「運動不足なんですかね、自分で転んじゃって、恥ずかしい」と話した、と書いたことについても質問が出た。この場に同席した共産党の宮本岳志衆院議員も17日のブログで、馳ブログに出てくる「自分で転んじゃって」発言について「おおむね事実です」と書いている。
しかし、質問したテリー伊藤さんに対し、三宅議員は「言ってません」「『転んでしまった』と言った所を、『自分で(転んだ)』と思われてしまったのかな」と弁解した。加藤さんもテリーさんも終始厳しい口調で、納得がいかなそうな表情だった。
加藤さんたちばかりでなく、三宅さんの転倒映像をみて疑問を持つ人は大勢いる。インターネットの動画サイト・ユーチューブでは、5月18日現在で再生回数が110万回を超えるものや60万回超のものなど多数の動画が公開されている。スローモーション版や「超スロー版」「逆再生版」などさまざまだ。動画を見てコメントを投稿した人の反応の多くは三宅さんに批判的だ。「自作自演」「(甘利議員の手は)当たってない」「白々しい」と厳しい声が並ぶ。
記者が動画を見てみると、甘利議員が初鹿明博衆院議員(民主)の右腕・肩部分を両手で振り払うように押したように見える。初鹿議員が左側にやや態勢を崩したところ、初鹿議員の背後にいた三宅議員が一呼吸遅れたタイミングで前方につんのめる形で倒れていく。甘利議員の左手は一瞬カメラから死角となるが、初鹿議員が態勢を崩した瞬間には両手がカメラに映っている。この映像を見る限りでは、甘利議員が三宅議員の背中を押したようには思えない。民主党の山岡賢次・国対委員長は5月13日の代議士会で、TVカメラを前にして「甘利さんが三宅さんを2メートル先まで突き飛ばした」と批判している。