9800円スーツ売れ残り 百貨店「安売り戦略」に異変

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   松屋銀座で9800円スーツがセール初日に完売した2009年から一転、10年はセールから1週間経っても売れ残っているという。代わりに売れているのが高級生地を使った3、4万円台のスーツだ。また西武池袋本店と小田急百貨店新宿店には、リーズナブルな価格のオーダースーツが登場した。

   松屋銀座で開催中の紳士用スーツのセール「銀座の男」市では、価格を抑えながらも品質にこだわったスーツが揃っている。「最高級」の生地を使い、国内のオーダー職人が仕立てた「丸縫い既製服」は3万5000円と4万5000円のタイプが登場した。有名ブランドなら「1着8万円台クラス」という英国製高級生地を使ったスーツは2着で2万9800円だ。5月25日まで開催している。

「客単価上昇、景気が多少戻ってきた感じ」

婦人用パターンオーダースーツは3万9000円から。西武池袋本店
婦人用パターンオーダースーツは3万9000円から。西武池袋本店

   「銀座の男」市は毎年5、10月に行われる。売上げは08年10月が前年比110%、09年5月は141%、10月は121%と不況下でも好調で、毎回約3億円強の売上げを達成している。なかでも好調だった09年5月は9800円のスーツが初日で完売するほどだった。

   10年5月は初日(12日)~17日の売上げが前年同期比10%増と好スタートを切った。ただし、09年のセールとは売れている商品が異なっている。

   松屋銀座の広報担当者は、

「良いものを買おうというお客さまが増えていて、客単価が上がっています。1着3万円台、2着4万円台のものがよく売れ、さらに1着4万円台のイタリア製スーツや当店オリジナルの3万5000円と4万5000円のスーツも売れています。景気が多少戻ってきた感じがします」

と話している。

   一方、500着用意した9800円スーツは、

「(5月17日現在で)まだ売れ残っています。昨年10月のセールのころから動きが悪くなっています」

とのことで、消費者が価格重視から品質志向にシフトしているようだ。

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