JALは賃料として年約300億円を支出
これら空港ビル会社の「大口テナント」は、もちろん航空会社で、全国60社のうち40社は、日本航空(JAL)グループの出資を受けてもいる。その航空会社の側からも、値下げの動きが進んでいる。
JAL広報部では「個別の契約についてはお答えできません」としているものの、全国の空港ビル会社に、賃料として年間約300億円を支出しているとされる。特に羽田空港については共用部分を含んで約65億円を支出しているとされ、月額にすると1坪約3万円。「都心と同様の賃料水準で割高だ」との批判もある。
JALでは、「ここ数年ほど、借りるスペースを減らし、賃料を値下げする方向で申し入れをしています」と説明。同社では、02年の日本エアシステム(JAS)との統合以来、JALとJASで重複していたスペースからの撤退を進めているが、今後も、ダウンサイジングが加速することになりそうだ。
空港ビル側は、国と航空会社の両方から要求を突きつけられている形で、今後も「儲けすぎ批判」が加速する可能性もある。前出の東京商工リサーチの調査でも
「空港ビル会社がこれまで通りに高収益を維持できるかは不透明で、空港を取り巻く経営環境は大きな転換点に差し掛かっている」
と結論づけており、やはり前途は多難な様子だ。