宮崎県で猛威を奮っている家畜病・口蹄疫を巡って、ネットで大騒ぎが続いている。赤松広隆農水相の対応を批判する動画にコメントが殺到したほか、ブログで呼びかけた募金活動に800万円が集まった。政府の対応が遅れているのではないか、という指摘がネットには強く、書き込みも絶えない。
2010年4月20日に宮崎県都濃町で、1例目が発生。翌21日には、大規模畜産農場が多数ある川南町でも感染の疑いのある牛が確認された。感染が出ると、その農場の家畜は全て殺処分しなければならず、5月13日までに約7万9000頭の殺処分が決定している。
赤松農水相に「大臣やめろ」の声
ネットでは、発生当初から政府の対応が遅れているのではないか、という指摘が出ていたが、現在注目を集めているのが、赤松農水相の対応を批判する動画だ。
11日の衆院農林水産委員会の様子を収めたもので、自民党の江藤拓衆院議員が赤松農水相に質問。口蹄疫発生後4月30日から5月8日まで、最高責任者である赤松農水相が外遊したことを批判している。農水相は「メキシコに行っていても、リアルタイムで連絡を取ることができる。私1人いなかったからといて、いささかも支障があったとは理解していない」と返答。江藤議員は「最高責任者でしょ! 何ニヤニヤしてんですか!」と激怒している。
この動画はYouTubeなどに転載され、ニコニコ動画では13日までに再生回数13万回を突破した。「大臣やめてください」「恥を知れ!」といったコメントが多数ついた。
酪農家がブログ使って募金の呼びかけ始める
川南町の酪農家自らが現地の状況を報告するブログも出てきた。「川南町のムッチー牧場だよ~ん。」という酪農家のブログで、4月下旬から口蹄疫について書いている。
「もう、今の状況は地獄としか言えない もう、農家は耐えられません 精神的にも、追いつめられてます」。近隣農家では、既に感染が確認された。いつ自分の牛も感染するかと思い、毎日が恐怖だという。
5月7日からは、ブログを使って募金の呼びかけも始めた。被災農家の生活費に当てるのが目的で、12日までに約800万円集まったことを報告している。この酪農家の男性は、13日放送された情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)にも電話で出演しており、「畜産家も借金とか税金とかあるのに、家畜がいなくなったら生活できないのです。競りも止まっていて、感染していない農家にも影響が出ています」と涙ながらに訴えていた。
男性のミクシィ日記には、「800万を超えましたか!本当に良かったです」「日本人はまだ捨てたものではありません」などと書き込まれている。
JA宮崎中央が10日公表した試算によると、8日までの口蹄疫の被害総額は110億円。内訳は、殺処分される家畜の損失が40億円、出荷遅れが10億円、家畜を新たに購入・飼育する再建費用が60億円だという。