「もんじゅ」驚くべき作業ミス 制御棒の操作方法知らなかった

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訓練用シミュレーターから「微調整棒」挙動抜け落ちる

   だが、驚くべきは、このトラブルが発生した背景だ。運転員は電力会社から出向しており、「もんじゅ」の運転は初めてだが、事前に「シミュレーター」と呼ばれる模擬運転装置で運転の練習をしていた。今回操作ミスが起きた「微調整棒」は、他の制御棒とは違って、最後の3ミリについては速度が4分の1に落ちるのだが、この挙動がシミュレーターには反映されていなかった。

   そのため、作業員は「最後は長押しする」という作業が必要だとは分からなかった。さらに、作業手順書にも問題があった。元々の作業手順書は「最後の3ミリは、制御棒が動くスピードが4分の1になる」という趣旨の記述があったが、今回行われている試験運転用に必要な手順だけを抜き出して作成した手順書には、この記述が抜け落ちていた。シミュレーターのみならず手順書でも、本物の「もんじゅ」の挙動を事前に知ることができなかったことが、トラブルにつながった形だ。

   原子力機構によると、現在60人いる運転員のうち、1995年のナトリウム事故の段階で運転経験があるのは8人のみ。いわば、「もんじゅ」の実際の挙動を知っている人がそれだけ少ないということで、作業スキルの伝承に不安を残す状況だ。

   川端文部科学相も、5月11日の定例会見で、

「訓練・トレーニングしていたはずの根幹の部分で、どういうことで長押しできなかったのか」
「制御棒の操作は根幹に関わる部分。どうしてそうなったのか、検証するように指示してある」

と、苦言を呈している。

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