パナソニック「環境」中核に成長 太陽電池やリチウムイオン電池

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   パナソニックが2010年5月7日発表した中期経営計画(2010~12年度の3年間)は、三洋電機を2009年末に子会社化してから初めてとなる中計だけに、太陽電池や蓄電池に強みを持つ三洋をグループ化したことを踏まえ、従来型家電企業からの脱却を目指す意欲的なものと受け止められている。

   具体的には新グループの技術力に定評がある環境エネルギー分野に軸足を移すことを鮮明にしたが、この分野は世界中の関連業界が競争にしのぎを削るだけに、思惑通り進むかは不透明だ。

太陽電池は補助政策による需要のブレが大きい

   新中計の概要は次の通りだ。

   まず連結売上高を、09年度の7兆4179億円から12年度に10兆円に伸ばすとした。今後の中核と位置づける環境エネルギー関連の売上高を12年度に8500億円に引き上げ、太陽電池は12年度に国内シェア1位、15年度に世界3位以内を目指す。パナソニックはかつて、太陽電池から撤退した過去があるが、兵庫県尼崎市のプラズマパネル工場内で三洋と協力して「次世代太陽電池」を開発、生産することを検討する。

   三洋、パナソニックともに技術力が高い「リチウムイオン電池」は、今後の市場拡大が見込まれるとあって、新中計で「世界シェア1位堅持」と位置づけ、今後基幹部品を共同開発し、より高性能な製品を供給する。

   環境エネルギーとともに柱となるのは新興国の市場攻略で、海外売上高比率を09年度の48%から12年度に55%にまで拡大する。このために、新興国中間層に合わせた「ボリュームゾーン」商品を投入し、12年度の売り上げを1兆円にすることを目指す――などの項目が並んだ。

   ただ、太陽電池は補助政策による需要のブレが大きく「怖い事業」(京セラ首脳)。実際、08年に世界1位のQセルズ(独)はリーマン・ショック後の欧州各国の補助見直しのあおりを受けて09年に最終赤字に転落した。日本市場は今、「補助金バブル」の様相だが、財政難の折、いつまでも続く保証はない。中国の新興メーカーなどが虎視眈々とシェア獲得を狙い、価格競争も厳しくなっている。

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