ヤフーオークションを自分の就職活動に使う人が登場した。有名サイト「探偵ファイル」の元編集長が、自身の個人事業を譲渡する「交渉権」を出品、交渉が成立すればその企業に就職するのだという。ネット上ですぐ話題になり、質問欄には「なぜ普通に就活しないの?」といった疑問が大量に寄せられている。
ヤフオクといえば、これまでにも度々変わったものが出品されてきたが、2010年5月7日にかけられた「商品」はちょっと変わっていた。「個人事業『大住有』の事業譲渡に関する優先交渉権」だそうで、出品者は大住有さん本人。「平たく言えば僕を売り飛ばします 正社員待遇での入札をお願い致します」と説明している。
5日間で122万円まで高騰
大住さんは、人気情報サイト「探偵ファイル」の元編集長。ミミズハンバーグを作って食べたり、心霊スポットでピクニックしたりと、身体を張った過激な企画で、ネットではちょっとした有名人だった。
ヤフオク出品のために、大住さんが作った特設サイトによれば、08年10月に探偵ファイル編集部を辞め、今回の出品も就職活動の一環だという。
ただ、「自分」をそのまま出品するのは問題があるようで、出品されているのは、あくまで個人事業である「大住有」(個人事業開業届提出済み)譲渡についての「交渉権」。落札者と条件などを交渉し、双方合意に至れば取引が成立。大住さんを正社員として雇うことができる。
「お互い納得できる形であれば本気で就職します」
不成立の場合は、手数料を差し引いた金額を返金する。また、希望があればブログで入札者の企業やHPの紹介を行う。宣伝をかねた入札なども受け付ける。
開始価格は1円だったものの、5月11日16時現在までに361件の入札があり、122万3000円にも高騰している。締め切りは13日だ。
「どうか運営に目をつけられませんように!」
この出品はネット上で話題となり、オークションページには大量の質問が寄せられた。「普通に就職活動しないんですか?」という質問には、「普通の就職活動も行なってます!しかしネタでなくこちらも本気の就職活動です!」と回答。WEBディレクター系の職種を中心に受けているが、落ちているという。「接客業はできますか?」といったものも寄せられている。
一方で、「違反通報しました」という人もいる。ヤフオクで就活とはかなり異例だ。2ちゃんねるには「ヤフオクで人身売買」と書き込まれた。大住さんも「ちゃんと人間じゃなく『交渉権』を出品してある」としているが、「どうか運営に目をつけられませんように!」と心配もしているようだ。
ヤフーの担当者によると、大住さんの出品は「特に人体を売るとかではないので、ガイドラインには違反しません」。現段階では削除しない方針だという。
ただ、
「オークションに出品すると、出品者には落札価格の5.25%が手数料としてかかります。また、出品するのはあくまで優先交渉権で、取引不成立の場合は返金することなど、大住さんがそこに書いてあることをやってくれるよう、メールで注意喚起する予定です」
と話している。