モルガンは野村HDの投資判断を引き下げ
市場関係者によると、バークレイズは、旧リーマンから引き継いだ北米事業の有効活用で、09年の米国でのM&A(企業の合併・買収)案件の取引額順位を前年の7位から5位に上げたのに対し、リーマン欧州事業を買収した野村HDの09年の欧州での取引額順位は25位圏内にも入れない体たらく。世界市場での1~3月期の法人向け売上高シェアも、野村HDは2.7%にとどまり、GSの16.5%、バークレイズの9.1%に遠く及ばない。野村HDは「米国でのシェア拡大が最重要課題」(仲田正史・執行役)と位置づけて巻き返しを図るが、道のりは容易ではない。
決算発表を受け、モルガンスタンレー証券は4月末、野村HDの投資判断を「Overweight」(資産配分を決定する際の配分比率を基準より多くする)から「Equal-weight」(基準並み)へと引き下げ、目標株価も850円から700円へと下方修正した。
第4四半期(10年1~3月期)決算が業績予想を上回ったことや、適切なコスト管理体制は評価する一方で、業績回復度合いはメガバンクや保険会社よりも遅いのにPBR(株価純資産倍率)は相対的に高いとし、今後の収益力アップも野村HDの想定よりも遅くなる可能性が高まったと判断した模様だ。