「なぜ増えているのかは正確にはわからない」
小児免疫アレルギー疾患が専門の宇理須(うりす)厚雄先生(藤田保健衛生大学坂文種報會病院)は、
「花粉症やぜんそくなどアレルギー全般で子どもの患者が増えているので、食物アレルギーも増えているだろうという印象はあります。学校で取った統計や外国の論文などでも増えたと報告されています。ただ、なぜ増えているのかは正確にはわかっていません。今回、都の調査で患者が10年で2倍になったのは保護者が学校に食物アレルギーの申告をするようになり、データに正確に反映されてきたことも影響していると考えられます」
と話している。
宇理須先生によると、推測レベルではいろいろ言われている。
1つは食生活の変化で、アレルギーが出やすいものを食べる機会が増えたこと。キウイフルーツやアボカドといった外国の食べ物を食べてアレルギーになる子どもが増えているのは、ここ10~20年で一般に出回るようになったから。乳児にアレルギーが多い「イクラ」も昔は高級だったが、最近は身近な食材になり、よく食べられている。
また、花粉症患者の増加と関係しているという説もある。花粉症の人は特定の果物に反応することがあるからだ。例えば白樺花粉症の場合はリンゴや桃、梨などの果物を食べてアレルギーが出る可能性があると言われている。
食品添加物や抗生物質の使用が原因だという説もあるが、いずれも推測の域を出ないという。