海外事業を新しい収益源に育てられるか
不透明なのは、リニア開業後の想定旅客数については変更していないことだ。同社は27年の開業後、東海道新幹線及び在来線からリニアへ1割程度旅客が移転すると試算。その一方、時間の大幅短縮効果による料金体系の見直しと、関東圏~関西・山陽間の航空旅客のリニアへの移転が進み、開業前に比べて全社で5%程度の増収になると見込んでいる。正確な予測は困難だが、東海地域にある企業などの海外進出の進捗状況によっては、下ぶれする可能性を指摘する声もある。
同社は国内でのリニア開業時期延期と合わせ、米国ワシントンDC-ボルティモア間などに建設される高速鉄道へのリニア売り込みを強め、政府も積極的に後押しし始めている。国内では少子化なども加わり、今後も旅客需要の大幅な伸びが期待できないが、世界的には鉄道需要の拡大が見込まれている。海外事業を新しい収益源に育てられるかどうかも国内の資金計画を大きく左右するのは間違いない。