「日本の銀行がギリシャに貸していないのは幸い」
事態をさらに悪化させているのは、ポルトガルやスペインなどの周辺国にも財政危機がささやかれていることだ。米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは2010年5月5日、ポルトガルの格付けを引き下げの方向で見直すと発表。財政不安が拡大しているとの警戒感が強まったことで、世界中の株式市場で「売り」が相次いだ。
ゴールデン・ウイーク明けの東京株式市場の下落は、いわば予想どおりではあったが、「350円超の下げは行きすぎだ」(証券マン)という。5月6日の終値は1万695円69銭で、前日(4月30日)比361円71銭安。これは今年最大の下げ幅だ。
前出の小田切氏は日本の株式市場への影響について、「日本の銀行がギリシャに貸し込んでいない(ギリシャ国債を保有していない)のは幸い。また、外国為替も円は米ドルとユーロのあいだくらいの水準なので、輸出関連企業も米ドルが下がるほどの大きな影響はないと思われます」と話している。
ただ、心配されるのは外国人投資家の動向。相変わらず、日本の株式市場に参加する投資家の多くは外国人投資家なので、「世界中のどこかのマーケットで株価が暴落すれば、その穴埋めに資金を引き上げるなど、影響は直に広がります」という。