世界同時株安への不安が再び広がっている。2010年5月6日の東京株式市場の日経平均株価は一時、前営業日(4月30日)と比べて374円79銭安の1万682円61銭まで急落した。米ダウ工業株30種平均は、ゴールデン・ウイーク中の4月30日から5月5日までに300ドル近く下げ、欧州の株式市場も軒並み下落した。中国の上海総合指数も、年初来安値を更新した。
欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)が支援に乗り出しているギリシャの財政危機への不安再燃が世界中で株安を招いた原因だが、ポルトガルにスペインと、その不安は周辺国に広がっている。
ギリシャに「国家破産」の可能性
リーマン・ショック以降から、ささやかれていた「欧州危機」が現実のものとなりつつある。ギリシャは、EUやIMFが行う3年間で300億ユーロ(約13兆7000億円)もの財政支援の見返りに、歳出削減と増税を断行するが、政府と国民が衝突し、死者が出るなど早くも実現を危ぶむ声が漏れている。
経済評論家の小田切尚登氏は、「EUとの約束を守るのは相当厳しいですね」と指摘。ギリシャ国債が紙クズになる可能性も否定しない。
小田切氏は、「国債は長期金利が上がれば返済負担は増えます。当面はよくても、10年間、20年間と払い続けられるかといえば、懐疑的にならざるを得ないです。欧米の経済学者もデフォルトの可能性を否定しません」と話す。
いまのギリシャの財政危機を不透明にしていたのは、EUの共通通貨のユーロの存在だ。自国の通貨であれば、財政が悪化すれば自国通貨の価値が下がる。しかしギリシャの場合は国債を増発しているにもかかわらず、ユーロを使用しているので、財政悪化がユーロの価値に現れにくかった。
しかも、ギリシャ国債を買っていたのがドイツやフランスを中心としたEU諸国の金融機関のため、ギリシャを支援しなければ「欧州発の世界恐慌にもなりかねない」(小田切氏)というわけだ。