経営危機に備える「銀行課税」 米欧主導に邦銀やきもき

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   ワシントンで2010年4月23日(日本時間24日)に開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、金融機関の将来の経営危機に備えて徴収する「銀行課税」案について議論したが、各国の意見がまとまらず、結論を6月のG20首脳会議に先送りした。

   日本は銀行の破綻時に預金を1000万円とその利子分まで保護する「預金保険制度」があり、制度導入には否定的な立場だが、08年秋のリーマンショック後の金融危機で巨額の銀行救済費用を投じ、国民の批判を受けた米欧は積極的だ。今後、導入機運が再燃する可能性は高く、日本の銀行関係者は動向に気をもんでいる。

オバマ政権「ウォール街たたき」強める

   G20では、金融危機時に各国政府や中央銀行が総額11兆ドル(約1033兆円)の救済費用を投じたことを受け、国際通貨基金(IMF)が、将来の危機に備えて積み立てる「金融安定基金」や、収益などに応じて課税する「金融活動税」を提案した。

   米国などでは、金融大手の公的資金による救済や経営陣の巨額報酬復活に対し、国民の批判が高まっている。今秋に中間選挙を控える米国ではオバマ政権が、国民の支持を得るため「ウォール街たたき」の姿勢を強めており、「銀行課税」に前向きだ。英国、ドイツ、フランスも導入を検討している。

   だが、自国だけが課税制度を導入すれば、金融大手の国外逃避が懸念されるため、G20で他国にも足並みをそろえさせようとしたというのが欧米の本音。金融危機の余波が少なかったカナダや新興国は「我が国は主権国家。自国の銀行は自国のやり方で規制する」(カナダのフレアティ財務相)と不快感を示した。亀井静香金融・郵政改革担当相も23日の会見で「日本は米国のように強い規制をかける状況にない」と述べた。

政治ショーのような規制議論、と業界反発

   IMFの提案に基づいてUBS証券が試算したところ、日本の年間徴収税額は約100億ドル(約9300億円)にも達し、世界の金融機関全体では年間2兆6000億ドルの貸し出し余力が失われるおそれがあるという。ただでさえ、バーゼル銀行監督委員会で自己資本の質を重視する国際的な新自己資本比率規制の議論が進んでおり、「邦銀にとって大変厳しい」(奥正之全国銀行協会長)内容。さらに銀行税の導入となれば、影響は貸し渋りなどの形で経済全体に及ぶ懸念もある。

   メガバンク幹部は「銀行税は国際統一的な枠組みの確立が難しく、一斉に導入するのは現実的ではない。最近の『銀行をたたけば票になる』という政治ショーのような規制議論は何とかならないものか」と気が気でないようすだ。

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