「ユニクロ」「H&M」「フォーエバー21」といった、流行の衣料品を安く提供するファストファッションが売れまくっている。ファッション消費に詳しい伊藤忠ファッションシステムの辻田泰子さんに、ファストファッションの現状と未来について聞いた。
トレンドが低価格だから買うという感覚
――ファストファッションはどんな人たちが買っていくのでしょうか。
辻田 幅広い世代が買っていきますが、やはり10代後半から20代の若者が特に多いです。景況感の影響はもちろんありますが、お金がないから安いものしか買わないのではなく、トレンドが低価格だから買うという感覚なんです。他の世代もそうですが、若者は特にそうですね。一時、ラグジュアリーがトレンドだった時がありました。みんな、食費を削ったり、アルバイトしたりして、ブランドバッグを買いました。それがカッコイイと思われていたからですが、今は逆で「どれだけ安く今ドキのモノを買ったか」がカッコイイと思われています。友達の間で話のネタにもなりますし。
――どのブランドが人気ですか。
辻田 ちょっと前のことですが、ファッション好きの若者に行った調査で「どこのブランドが好きですか」と聞いたところ、「ユニクロ」がトップにきたんです。調査には「ユナイテッドアローズ」や高級ブランド「プラダ」などが選択肢に含まれていたんですが、「ユニクロ」がそれと同等以上の存在になっていて、一番好きで、一番買っているという結果になりました。好きなブランドとして、ユニクロ以外のブランド名があまり出てこないんですよ。
――若者は高級ブランドに興味を示さなくなっている?
辻田 有名ブランドに対する熱烈なロイヤリティが下がっているのは確かでしょう。それより、どこのショップで買ったとか、友達や人気のタレント、モデルと一緒の商品、が重要のようです。高級ブランドのショップも一応見にいく。でも、あくまで参考にするだけ。似たようなデザインのものを安い店で買ったり、オークションで探したり、という買い方が広がっています。
自分の気分に合わせて自由に選びたい。また自分で組み合わせるスキルを持っています。いつも旬でいたいから、高い服は買わないんです。当社の20歳代の女子社員が「フォーエバー21」でパーティ用に派手なドレスを毎回買って、同じものはあまり着ない、と言っていましたけれど、そんな気分なんですよね。