「ゾゾタウン」成功の秘訣 「値下げしない」「選んで売る」
インタビュー「消費崩壊 若者はなぜモノを買わないのか」第4回/柳澤孝旨氏に聞く

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   不景気でモノが売れないと言われる中、ファッション系ECサイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」が20~30歳代のオシャレな若者に人気を呼んでいる。その秘密を運営会社、スタートトゥデイ柳澤孝旨CFOに聞いた。

CGを駆使してお客様に楽しんでいただく

「ゾゾ」が売れる理由について話す柳澤氏
「ゾゾ」が売れる理由について話す柳澤氏

――競合店とはここが違う、という点は何ですか。

柳澤 まず、競合店はいないと考えています。「ゾゾタウン」の場合、サイトの見せ方などにこだわっています。CGを駆使して、実際にお店に行くような感覚でお客様に買い物を楽しんでいただけるようにしているのです。さらにECサイトというと、割引などでお得感を打ち出しているイメージもありますが、「ゾゾ」ではセール期間以外は値下げをしていません。それでも売れているのは、ECサイトというよりは、おしゃれなセレクトショップで買い物するような感覚になるからではないかと思います。

――「ゾゾタウン」でしかネット販売しないブランドもありますね。

柳澤 そうですね。取り扱っている1178ブランド(10年3月末時点)うち、他のECサイトでは販売していないものもあります。アパレル業界には古くからの商慣習があって、人と人とのつながりであったり、業界に対する深い理解がないとなかなか取引に応じてもらえない事もあります。ECサイトについてもアパレルを扱い始めた当初(2000年)はなかなかブランドから理解を得られず、断られてばかりでした。7、8年営業を続けて、ようやく出店してもらえたブランドもあります。1000ブランドを達成できたのも地道な営業活動があったからこそ。ストリート系やメジャーブランドが集まった今では、始めはネット販売に否定的だったブランドからもOKをもらえるようになり、どんどん増えていっています。

――不景気で百貨店が苦戦している中、ブランドのほうから頭を下げてくることもありますか。

柳澤 店舗より「ゾゾ店」が好調という話はよく聞いています。実店舗だと商圏が限られますが、「ゾゾ店」だと全国をカバーできるため、最近では「ゾゾ店」を実店舗も含めた全店舗の旗艦店にしたというブランドもあるくらいです。「ゾゾ」なら売れるという噂が業界で広がり、ネットで買い物をする人も年々増え、ネットが注目され始めたこともあって、出店したいというブランドがたくさんやってくるようになりました。

テレビCMで会員が飛躍的に増える

――ブランドを選ぶ基準はありますか。

柳澤 何でもかんでも売るのではなく、ブランドイメージや横並びも考え、自分達が好きなブランドを選んでいます。明確な基準はありませんが、当社の社員のほとんどが「ゾゾ」の元顧客で、ファッション好きという理由で入社し、お客様に近い感覚を持っています。選択にブレはありません。また、「ゾゾ」に出店していただく以外にも、ブランドの自社ECサイト運営の支援を行っています。今はオンワードや伊勢丹のメンズ館など6社に当社が構築してきた自社のシステム、デザイン、物流などのノウハウを活用して各社ECサイトの運営を支援しており、売上も順調に伸びています。最近ではさらに1社と契約が決まりました。

――最近はテレビCMも流しています。

柳澤 09年12月から10年1月に2タイプのCMを打ちました。1つは「ゾゾ」の認知度を上げるためのもので、もう1つはセールのお知らせでした。これが大成功でした。毎月の会員数が前月比3万人から5万人増だったのに、09年12月は13万人増、10年1月は15万人増と飛躍的に伸びました。また、CMで「ユナイテッドアローズ」「ビームス」「シェル」「ア・ベイシング・エイプ(R)」といったメジャーブランドを紹介したところ、実店舗でも売上が伸びたようで、喜んでいただけました。

――今後の展開を教えてください。

柳澤 新しく「ゾゾヴィラ(ZOZOVILA)」という島をイメージしたサイトを立ち上げて、「アンダーカバー」を始めとするラグジュアリーブランドを取り扱い始めました。評判は上々で、さらに充実させていきたいと考えています。また全体で取扱額1000億円、経常利益100億円という目標を立て、2~4年間で達成する意気込みでいます。本の通販なら「アマゾン」、ファッション系なら「スタートトゥデイ」と言われるようになりたいですね。

柳澤孝旨(やなぎさわ・こうじ)プロフィール

スタートトゥデイ取締役CFO。1995年富士銀行(現みずほ銀行)に入行後、1999年NTTデータ経営研究所入社、2005年みずほ証券勤務を経て、2006年2月スタートトゥデイに常勤監査役として入社。2008年6月取締役経営管理本部長に就任後、2009年4月よりCFOに就任し、現在に至る。


スタートトゥデイ

1998年、輸入CD・レコードのカタログ販売を手がける有限会社スタート・トゥデイ設立。2000年、カタログ販売をオンライン化し、アパレル商材の取扱いを始め、オンラインセレクトショップを次々オープン。2004年、その集積として、ファッションを中心としたショッピングサイト「ZOZOTOWN」を開設。2007年、「ZOZOTOWN」を含む各種情報サービスを展開するファッション総合サイト「ZOZORESORT」をオープンし、同年12月に東証マザーズに上場(3092)。2008年アパレルメーカーの自社ECサイト運営業務を支援する子会社「スタートトゥデイコンサルティング」を設立。2010年、ラグジュアリーブランドを扱うショッピングサイト「ZOZOVILLA」をオープン。2010年3月時点での会員は202万人以上、アクティブ会員は80万人以上。商品取扱高は370億円。

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