記者クラブに加盟していない記者も記者会見に参加できる「オープン化」が官公庁で続々と進んでいる。プライバシー保護などの問題で、もっともオープン化が難しいとみられてきた検察ですら、オープン化の方針を打ち出した。現段階でオープン化がされていないのは、宮内記者会など、ほんのわずかになった。「完全オープン化」に向けた障害はどのあたりにあるのか。
最高検察庁は2010年4月22日、全国の地検と高検に対して、会見のオープン化についての通知を出し、翌4月23日には、最高検のウェブサイトに「今後、準備が整った庁から、順次、記者会見の開催要領及び参加手続き等について、しかるべき方法でお知らせします」などする文書が掲載された。
申込書以外に社員証をカラーコピーして郵送
同日、東京地検のウェブサイトに、会見参加方法を記した文書も掲載された。文書によると、司法記者会所属の記者以外も、日本新聞協会、日本インターネット報道協会などの加盟社に所属する記者や、これらの報道機関に署名記事を提供しているフリーの記者も、事前登録手続きをすれば定例会見や臨時会見に参加できる。
ただし、他官庁では、ファクスでも手続きが出来るのに対して、東京地検では、申込書以外にも、社員証をカラーコピーして郵送する必要がある。さらに、「記者会見参加規約」には、
「当庁に来庁している事件関係者の方々のプライバシーを保護する必要があるため、記者会見場以外には絶対に立ち入らない」 「記者会見中に会見状況を画像、音声又は電子情報等で配信しない」
といった、他省庁にはない厳しい条件がある。ツイッターで会見を中継する「tsudaる」ことも、事実上禁じる内容だ。
だが、記者会見の開放を長く求め続けていたビデオジャーナリストの神保哲生さんは、
「99%は目的を達成したようなもの。『動画が撮れない』といった、個々の事業者にとって不利な状況はあるが、これは記者会見のオープン化が民主主義に対して果たす役割とは別に考えるべき」
と、オープン化自体を高く評価している。具体的には、いわゆる「検察リーク」の位置づけに大きな影響があると見ている。
「リークされたと見られる記事が載っていれば、会見の場で『これは事実ですか』と質せばよいのです。ですが、会見が記者クラブに閉じられていた時は、これすらできなかった」