テニアン住民に反対の声なし
一方で日本国内をみると、移設先問題は混迷を深めるばかりだ。普天間基地のある沖縄県では4月25日、県内への基地移設に反対する県民大会が開かれ、主催者発表によると約9万人を集めた。また、県外移設先として有力視されている鹿児島県徳之島でも、4月18日に1万5000人が参加しての反対集会が行われている。
鳩山由紀夫首相は、辺野古沿岸部を埋め立てて滑走路を建設する現行案に戻ることは否定している。だが、かねてから発言している「腹案」についてはいまだ実態が明らかにされず、手詰まり感が漂っている。
テニアン島は実際に移転先とはなりえないのだろうか、北マリアナの英字紙「サイパントリビューン」の記者で、「テニアン島に普天間基地を誘致」の記事を執筆したハイディ・ユハニュオ氏はJ-CASTニュースに対して「地元では経済的な利益が得られることを期待しているようだ」と答えた。
ユハニュオ氏が地元の議員らに取材したところ、直接的な金銭的支援も含め、米兵がテニアンに住むことで飲食業などをはじめとした事業が地元経済を潤す効果を考えていたという。また、基地誘致決議に反対するテニアン住民の声は「一切聞こえてきません」とユハニュオ氏は話す。
現地では積極誘致を目指しているようだが、日米両政府からはこの案を検討するという話は聞こえてこない。