映画「スターウォーズ」の敵役、ダース・ベイダーが商品や広告、プロモーションのキャラクターとして頻繁に登場している。衣類やスニーカーのタイアップ商品に使われたり、特徴あるマスクを「兜」にして売り出されたり。ダース・ベイダー「本人」が街中を闊歩しながらピーアールする手法も現れた。
商品や広告は、何よりもイメージが大事のはず。洋画の、しかも悪役キャラが日本でこれだけ人気を集めているのはなぜか。
闇の帝王「1日郵便局長」に
全身黒ずくめ、不気味な呼吸音、冷酷無比な闇の帝王――。およそ近寄りたいとは思えない雰囲気のダース・ベイダーが、「帝国軍」の部隊を従えて東京・銀座に突然現れた。2010年3月6日のことだ。仕掛けたのはユニクロ。スターウォーズのオリジナルTシャツが店頭に並んだこの日、プロモーションの一環として「ダース・ベイダー来襲」を企画した。開店前から並んでいた客は怖がるどころか、一緒に写真を撮ったり、握手を求めたりと大喜びだったという。
スターウォーズTシャツにはダース・ベイダーも描かれているが、ほかに「悪役」はいない。別のTシャツは、ウルトラマンや仮面ライダー、スパイダーマンといった「正義の味方」ばかりだ。ユニクロ広報に聞くと、「あくまでもスターウォーズの登場キャラのひとつ」としながらも、「映画ファンなら知らない人はいない抜群の知名度」が、起用の決め手となったようだ。強烈な存在感に加えて、「(コスチュームの)造形的な美しさや優れたデザイン」も、魅力だったと話す。
ユニークな使われ方も見られる。08年夏には、映画のプロモーションの一環で都内の郵便局の1日局長を務めた。肩から「1日郵便局長」のタスキを下げるダース・ベイダーと、周りで作業を手伝う手下たち。奇妙な光景だが、話題性は抜群だったようだ。また「人形の吉徳」は、ダース・ベイダーのコスチュームを模した鎧飾り、兜飾りを制作・販売した。これほど日本で受け入れられているヒールキャラも、珍しいのではないか。