化粧品メーカーが衣料品、製菓、スポーツ用品など異業種と組んでキャンペーンや商品開発を盛んに行っている。女性の必需品、化粧品は不況下でも売れているが、気に入ったブランドを使い続ける傾向があるため、あの手この手で新しい客を取り込もうと必死だ。
日やけ止め市場でシェア№1ブランドの資生堂「アネッサ」は、カジュアル衣料品店「ユニクロ」のUV(紫外線)カットウェアと共同キャンペーンを2010年5月20日まで行っている。
コラボして認知度を高めたい
「アネッサ」の購入者1000人に抽選で「ユニクロ」のUVカットウェアをプレゼントする。逆に「ユニクロ」オンラインストアでUVカットウェアを買うと、「アネッサ パーフェクトエッセンスサンスクリーン(25mL)」が500人に当たる。
今回のコラボは「紫外線対策を快適で楽しいものに変えていく」という両社の思いから実現した。しかし「どこでもコラボできるわけではない」と資生堂広報担当者はいう。コラボする上で顧客層が一致する必要があり、「アネッサ」の顧客は幅広い年齢の男女で、ユニクロの顧客と一致すると見ている。
10、20歳代向けの資生堂メーキャップブランド「マジョリカマジョルカ」は、製菓大手ロッテのフレグランスガム「グラマティック」と組んで、4月21日から3か月限定で共同プロモーションを行っている。
「マジョリカマジョルカ」の担当デザイナーが「グラマティック」のパッケージや販売台などをデザインし、一部の店舗で両方の商品が置ける販売台を設置した。キャンペーン用モバイルサイトもオープンした。
資生堂広報担当者によると「マジョリカマジョルカ」は「世界観をはっきり出したブランド」で顧客層が限られ、取り扱い店舗は9500店と限定的だ。一方の「グラマティック」は7万店で売っている。「コラボすることで(マジョリカマジョルカの)認知度を高めたい」と考えている。
コーセーと「アディダス」が組む
化粧品メーカー大手、コーセーはスポーツ用品ブランド「アディダス」と組んで、男性用化粧品シリーズ「アディダス スキン プロテクション」を2月22日からコンビニ、ドラッグストアなどで販売している。アディダスブランドの化粧品は日本初で、アディダスのファンや、部活動やサークル、ジムなどでスポーツを楽しむ10歳代後半~30歳代の男性を取り込む狙いだ。
化粧品メーカー、ドクターシーラボ(東京都渋谷区)とハーバー研究所(千代田区)は、それぞれ流通最大手セブン&アイグループと共同開発した化粧品を全国のイトーヨーカドーとセブン―イレブンで4 月7 日から発売している。以前からドラッグストアやバラエティショップなどで売っていたが、コンビニ大手で取り扱ってもらい、新しい客を取り込む考えだ。
化粧品と異業種のコラボは過去にも行われている。
例えば、ユニリーバ・ジャパンの男性用化粧品「アックス(AXE)」はTBS系バラエティ番組「リンカーン」とのコラボCMを09年12月1日から放映した。同時にアックスを購入するとオリジナル携帯待ち受け画像がもらえるキャンペーンも行った。
資生堂の子会社、資生堂アメニティグッズは自治体と組んで、「ご当地香水」を04年から作っている。第1弾は広島県尾道市の観光名所、千光寺公園の桜の香りをイメージした香水で、初回生産分2000本が3日で完売した。今では12地域で香水を販売している。同社広報担当者は、自治体からの依頼や問い合わせが毎日のように来ているという。