兵庫県尼崎市に住む韓国人男性が554人分の子供手当を申請したことがわかった。1年で計8600万円というとんでもない額だ。同市は厚生労働省に相談して受付を拒否したが、ネットでは、横浜や東大阪市、北海道でも大量の子供手当申請・受理されたというありもしないデマが広がっている。
「子供と定期的に面会」証明する数十枚の書類も用意
尼崎市の子供手当の騒動は、50代とみられる韓国人男性が家庭支援課を訪れ、妻の母国のタイで子ども554人を養子縁組していると説明した、というもの。子供への送金記録や子供と定期的に会っていることを証明する数十枚の書類も用意していた、という。
しかし、人数が多すぎるなど不自然な点があり、厚労省と相談した結果「実際に養育しているのかどうか調べる手がかりがない」などとして申請書の受理を拒否した。
ネットでは「やはりそんな外国人が出てきた」と騒然となった。4月上旬に「川崎市の高津区役所で590人分の子供手当てしてた アジア系の人いた」などというデマが流れ、外国人に対する子供手当給付に疑問の声が沸騰した経緯があったからだ。
母国に子どもが居住する在日外国人でも、要件を満たせば支給が受けられるし、養子でも婚外子でも受給は可能。どんどん税金が国外に持ち出される可能性がある、との危惧が広がっていた。
数十~200人単位の不正受給デマ
尼崎市での騒動がメディアで流れると、ネットで今度は、横浜と北海道では既に200人単位の養子縁組をした韓国人に子供手当受給が決まった、という噂が。
「東大阪市の職員だけど、こっちにも金曜に45人分(用紙3枚)の申請に来た韓国人がいたよ。もちろん受理された」
などの書き込みも現れた。本当なのか東大阪市に問い合わせてみると、
「何十人単位などの不自然な申請は来ておらず、現在はこれまで寄せられた申請を受理するかどうかを決めている最中です」
ということだった。支給が決まったという通知はまだしていないという。横浜市は申請を郵送で受け付けているが、問題となるようなものは今のところ見当たらない、ということだった。北海道庁も、「申請は市町村単位で受け付けているが、問題となる申請があったという相談は一件も来ていない」。全部デマだったわけだ。
厚生労働省によれば、申請に問題があると相談されたのは尼崎市の1件のみ。尼崎市の場合は「50人の孤児と養子縁組を行った外国人は支給要件を満たさない」に抵触したことがきっかけだったが、では人数が少なければ支給条件を満たすのか、といえばそうではないという。「年2回以上、子どもに面会」「4か月に1度の継続送金」「来日前の子どもとの同居歴」などの条件が決まっていて、厳格に対処するため、「不正受給は防げる」というのが厚労省の言い分だ。