日本マクドナルドが2010年4月25日記者会見し、「新世代デザイン店舗」を発表した。従来より高級感を打ち出した店舗で、同日から都内12店舗で導入する。商品も一部値上げする。会見した原田泳幸社長は現在進めている「構造改革」の一環であることを強調、「都心から郊外へと徐々に展開していきたい」と語った。
記者会見で原田社長は04年から6年間連続増収を達成していることを強調。それを支えた「構造改革」として「100円マック」などの新規顧客の獲得や、「ビッグアメリカ」といった独自メニューの開発などを挙げた。
全5タイプ、高級感あふれるデザイン
今後も成長を続けるためにはこれらに加え、「新しい店舗」が必要だとした。対象となるのは、渋谷東映プラザ店や渋谷センター街店など渋谷周辺の店舗や、赤坂駅前店、麻布十番店を含む13店舗。いずれも都内一等地にある主要店だ。
新世代デザイン店舗はフランス人デザイナーによって考案された「心地よく洗練された空間の提供」がコンセプト。シックな「クオリテ」、ポップな「フード」、ビジネス風の「エッジ」、瑞々しい「フレッシュ」、お洒落な「エクストリーム」の5種類あり、店舗ごとに異なったデザインを採用している。ヨーロッパから輸入された、デザイン性の高いゆったりとしたソファーが配置された店内は、全店禁煙、環境配慮のLED照明を採用したほか、クルー(店員)のユニフォームも一新。従来店舗とは違ったイメージで、高級感を打ち出している。
会見には、新デザイン店舗のBGMプログラムを担当するDJのクリス・ペプラ―さんと、タレントの藤本美貴さんが登場。新デザインについて「シックで合理的なデザインで、とても落ち着きます。素敵な空間だと思いました」(ペプラ―さん)などとコメントした。
原田社長は、今回の新デザイン採用の理由を
「ファストフード店の外装を見ると、ブランドというものを感じない。看板を外すとマクドナルドと識別できないほど似通っている。会社名を見なくてもわかるのがブランド力。そうした店舗デザインを目指す」
と説明した。一方、新デザイン店舗では商品の単価を10~50円値上げする。
「当社は数年前から地域別価格に踏み切り成功している。都心でも100円メニューが必要なところと必要でないところで、値段的に差がなければいけない。地域だけでなく、同じ地域でもロケーション別に価格が違ってしかるべきで、今回はその中の1つのチャレンジ」
と語った。
約1300店舗の大規模「スクラップアンドビルド」
マクドナルドは、この13店舗が成功すれば今後同型の店舗展開を進める方針で、原田社長も
「都心部から徐々に郊外へ広げていくが、そのままのデザインではなく、地域に合わせて多少変更し、検討を行いながら展開していく」
としている。
同社は全国433店舗を年内に閉店することを2010年2月に発表している。出店を行う一方で、投資効果を期待できない店舗などを閉店していく、いわば「スクラップアンドビルド」を強力に推し進める考えだ。今回の新世代デザイン店舗の採用もこの一環といってもおかしくない。全メニューを提供できない店舗や、新デザインに対応できない店舗などは閉店対象になる。3年から5年かけて更に633店舗も入れ替えていく。
これまでも04年からの5年間で、計300店の「スクラップアンドビルド」を行ってきた。今後これを加速させ、全国約3700店舗のうち約1300店舗を入れ替える、「大がかりな構造改革」を行うことになる。