JICAに厳しい「仕分け」緒方貞子理事長給与にも言及

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   行政刷新会議による「事業仕分け」第2弾が2010年4月23日、東京・日本橋の民間貸し会議室で始まった。初日の序盤では「前回に比べてトーンダウンしているのでは」との声が記者団から出たものの、この日の「本丸」である国際協力機構(JICA)への仕分け作業に入ると、「前回の仕分けの結果が反映されていない」などと独法側に対する厳しい追及が続いた。

   「第2弾」で対象となるのは、47独立法人の151事業で、初日は9法人28事業が対象。前回の09年11月の会場は、体育館をパーティションで区切って3つの会場で作業が行われたが、今回は会議室を借り切って2会場で行われた。

仕分け人からは続々と批判の声

左から「仕分け人」蓮舫参院議員と、田島要衆院議員。手前は説明者(JICA)側
左から「仕分け人」蓮舫参院議員と、田島要衆院議員。手前は説明者(JICA)側

   2会場あわせて240席の一般向け傍聴席が用意されたが、前回に増して関心度が高い様子で、仕分け会場は傍聴人であふれていた。前回の仕分け会場に比べて天井が低いこともあって、熱もこもりがちだった。入場制限も行われ、一時は100人以上が1階のエレベーターホールで足止めをされ、テレビ中継で仕分けに見入っていた。

   2つある仕分け会場のうち、「仕分け人」蓮舫参院議員が登場した「ワーキンググループA」では、1コマ60分の仕分け作業が、6回にわたって行われた。「沖縄科学技術研究基盤整備機構」を対象にした1コマ目の作業の直後には、

「今回は、説明する担当省庁の方に対しても、『この先についてどうするのか』についてプレ事業仕分けの時に何度も言わせていただいているので、そこはぶつかるところにはならないのでは」

と、あまり議論が紛糾しないことを示唆していた蓮舫議員だが、2コマ目のJICAを対象にした仕分け作業が始まってみると、実際は違ったようだ。

   このコマでは、人件費や所有する施設の整理統合について、前回の仕分け作業の結果がどの程度反映されているかを検証(フォローアップ)することが目的とされたが、仕分け人からは続々と批判の声があがった。

   例えば、「航空運賃は、ビジネスクラスではなくエコノミークラスでの使用を基本にし、経費が8億1200万円減らせた」とするJICA側に対し、

   「全体の航空運賃は111億4800万円(08年)。余り減っていないのではないか」

   と反論され、「(給与とは別に支給される)在外手当が、ここ10年で3割減った」という主張に対しては、具体的な額を開示するように求める声が飛んだ。

「テレビの前では言いたくないんですけど」

   JICA側は、「北京の次長クラスで、99年には月額64万5400円だったものが、10年には43万9300円に、31.9%減少している」などと説明したが、やはり普通の民間会社と比較して好遇なことに疑問の声が相次いだ。

   渋谷区にある広報・研修施設「東京国際センター」についても、

「国際空港に近いという意味では、大阪や成田はどうか」 「埼玉の朝霞ではどうか」

   などと、郊外に移転したり、余っている別の独立行政法人の施設を利用してコストを削減すべきとの声が続出した。

   仕分け作業の最後には、理事長の報酬額について「報酬は年に2116万円だが、月額報酬の規定と計算があわない」という趣旨の指摘がされると(他の仕分け人からは「ボーナスの分」とフォローする声)、福山哲郎外務副大臣がシドロモドロになる一幕もあった。

「これはテレビの前では言いたくないんですけど、理事長は(元・国連難民高等弁務官の)緒方貞子先生です。本当にご高齢の中、世界中を飛び回って援助にかけまわっていただいてます。緒方先生のご経歴、国際社会への貢献といったことを考えた時に、この金額が高いか高くないかと言うときに、『高くない』とは言いませんが、しかしそこは、緒方先生のこれまでの実績を含めて、それは十分に、僕は国民に理解いただいていると思う」

   概してJICA側は「防戦一方」の様相だ。その結果、14人の仕分け人のうち、12人が「見直しが不十分」と判定。調査研究費、施設整備資金について、さらなる縮減を求められることになった。

   仕分け作業の「第2弾」の前半は、週末をはさんで26日~28日まで行われ、後半は5月下旬に行われる。

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