金ジョンウン「写真」は「誤報」 韓国メディアが毎日報道を否定

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   北朝鮮の金正日総書記の後継者に3男の金ジョンウン氏が「本決まり」になったとみられるなか、毎日新聞がジョンウン氏の「近影」として報じた写真が、韓国メディアで「誤報」として大きく取り上げられている。

   写真は、キム総書記が製鉄所を視察する様子を収めたもので、金総書記の隣の人物がジョンウン氏なのだという。だが、韓国メディアによると、その人物は、実は製鉄所の幹部だというのだ。

写っているのは製鉄所の技師長キム・グァンナム氏

毎日新聞が「金ジョンウン氏」として報じた朝鮮中央通信の写真(3月4日、左)と、朝鮮中央テレビで金総書記への賛辞を述べる「キム・グァンナム」を名乗る男性(1月1日、右)
毎日新聞が「金ジョンウン氏」として報じた朝鮮中央通信の写真(3月4日、左)と、朝鮮中央テレビで金総書記への賛辞を述べる「キム・グァンナム」を名乗る男性(1月1日、右)

   ジョンウン氏とされる写真をめぐっては、09年6月に、テレビ朝日が韓国の一般男性の写真をジョンウン氏と取り違えて報じ、謝罪に追い込まれている。このこともあって、韓国メディアは「また日本メディアが『誤報騒動』」などと批判を強めている。

   問題の記事は、毎日新聞が2010年4月20日の1面トップで、「金正日総書記に寄り添い製鉄所視察 正銀氏 初の近影」と題して報じたものだ。ジョンウン氏の呼称をめぐっては、日本メディアは「正雲」と表記していたが、韓国政府がハングル表記を改めたことから、大半の日本メディアは「ジョンウン」とカタカナ表記に変更。毎日新聞は「正銀」の表示を採用している。

   記事によると、金正日総書記が咸鏡北道の金策(キムチェク)製鉄連合企業所を現地指導する様子を報じる2010年3月5日付の労働新聞に、ジョンウン氏の写真が掲載されていたという。「北朝鮮指導部に近い関係者や韓国情報機関の関係者」が同紙に明らかにしたとしている。記事では、写真について、

「朝鮮中央通信が(労働新聞の)掲載前日に配信した写真には、ペンを持ちながらメモ帳を広げる正銀氏の姿が写っている。紺色のスーツとみられる服に赤のネクタイ、黒っぽいコート姿。正銀氏はほとんどのカットで金総書記の隣に立ち、現地の案内人の説明を一緒に聞いているように見える」

などと描写。3面にも「順調な継承アピール」と題して、長文の解説記事が掲載されており、非常に大きな扱いだ。

   ところが、東亜日報、朝鮮日報、中央日報、聯合ニュース、KBS(韓国放送公社)、SBS(ソウル放送)など韓国主要メディアは同日夕方から夜にかけて、記事の内容をいっせいに否定。具体的には、韓国情報当局者が

「写真に写っているのは金ジョンウン氏とは別人で、金策製鉄連合企業所の技師長を務めているキム・グァンナム氏らしい」

などと語っているという。

毎日新聞「内容は事実と確信しています」

   各メディアとも、

「毎日新聞の金ジョンウンの写真は誤報」(KBS)
「日本、また『金ジョンウン写真』誤報騒動」(東亜日報)
「日本の毎日新聞が誤報騒ぎ」(朝鮮日報)

と、誤報が確定したかのような書き方だ。東亜日報には、

「韓国の情報当局者は、『日本メディアが09年に続いて、確認がとれていない写真で誤報をした』と一蹴した」

とまで書かれている。確かに、韓国メディアの記事を見ると、毎日新聞の記事の信憑性を突き崩すような事実関係が、次々に明らかになっている。

   朝鮮日報によると、金総書記は09年2月と12月にも同企業所を訪れており、その時の写真にも、今回の記事でジョンウン氏とされた人物が、常に写っていたという。さらに、SBSによると、10年1月1日の朝鮮中央テレビで同企業所が紹介された際には、ジョンウン氏とされた人物にそっくりの男性がインタビューに応じ、金総書記に対する賛辞を述べている。なお、この時のテレビ画面には「キム・グァンナム」というテロップまで入っている。SBSは、一連の騒動について、

「今回の騒動も誤報で終わったが、外の世界に姿を見せていない金ジョンウン氏に対する関心の高さを表している」

などと論評している。

   毎日新聞では、4月21日夕方の段階では、坂東賢治・外信部長の「記事は十分な取材に基づいており、内容は事実と確信しています」との談話を発表している。

姉妹サイト