「ネットに漫画を違法アップするな!」 「少年ジャンプ」誌面で警告の背景

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漫画家は雑誌から離れ、ネットに向かう?

   ネット上の不正コピーが実際の漫画雑誌や単行本の売れ行きにどれくらい影響を及ぼしているのかは、はっきりわかっていない。「ワンピース」のコピーは大量にアップされているものの、最新の57巻は国内での記録を塗り替え、初版で300万部を達成。累計部数も1億8560万部になった。

   出版社の中には違法でもPR効果が期待できる、と考えるところも出てきた。例えばアニメの「らき☆すた」「涼宮ハルヒの憂鬱」。海外でもDVDが売れるのは「ユーチューブ」などにアップされた事が大きい、とし、角川書店グループは条件付きで「違法アップロード」を認めている。

   漫画雑誌の出版社もPR効果はあると認識してはいる。ただ、それ以上に大きな問題を抱えているのだという。ITジャーナリストの井上トシユキさんによれば、現在の漫画雑誌の出版社にとって脅威なのは電子書籍であり、それが今回の問題に大きく関わっている、と指摘する。

   漫画家の稼ぎの元は単行本。それが違法アップで売れなくなっている。打開策として、新作を自身のホームページで発表する人も出始めた。収入が確保できるならば、「最初から掲載はネットでも構わない」という漫画家も増えつつある。

「つまり出版社は、自分の雑誌に漫画家をつなぎ止めることが難しくなってきている。仮に、どこかのネット企業が原稿料を高く設定し、ウエブで『漫画雑誌』を作る、などということを始めたら、漫画業界の構造が一変することもありえます」

   井上さんは今回集英社が出した読者への「お願い」文についてこう解説する。

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