米軍普天間基地の移設問題が暗礁に乗り上げる。メディアの世論調査では、内閣支持率が「危険水域」の20%台がぞろぞろ出てきた。鳩山内閣は「風前の灯」だとの見方が出て、「解散総選挙」、衆参ダブル選挙の影さえチラついてきた。
時事通信に続き、朝日新聞(4月19日付)や4月18日放送のフジテレビ「新報道2001」の世論調査で、鳩山内閣の支持率はついに30%を割り込んだ。不支持率も、朝日新聞で60%を超え、時事通信なども半数を超えている。
5月決着先送りの場合、首相「辞任すべき」が51%
鳩山由紀夫首相と民主党の小沢一郎幹事長の「政治とカネ」の問題によるイメージダウンに加えて、普天間基地の移設や高速道路の無料化問題と、国民との約束(マニフェスト)は反故にされることばかり。さらに、核安全保障サミットでのオバマ大統領との「10分会談」でまったく相手にされなかったことが追い討ちをかけた。
内閣発足は、ほんの7か月前のこと。そのときに、本当に70%超もの高い支持率を得ていたのか、と思わせる凋落ぶりだ。
朝日新聞の世論調査によると、普天間問題の5月決着が先送りされた場合、鳩山首相は「辞任すべき」と答えた人は51%に上った。
こうした中で、衆参同時選挙という観測も出ている。政府が2010年6月に策定する中期財政フレームをめぐって、仙谷由人国家戦略担当相が、消費税率の引き上げを争点に「任期途中での衆院解散も選択肢になり得る」と発言したのがきっかけで、「解散ムード」が漂ってきた。
「民主惨敗 第2党に転落」すると予測
週刊現代2010年5月1日号は「真夏の決戦再び! 解散総選挙 全議席完全予測」という特集を組んだ。
仮に鳩山首相が普天間問題で退陣した場合、民主党内で代表選挙をやって、そのまま国民の審判を受けずに新たな首相が立つことになれば、これまで民主党がさんざん批判してきた自民党と同じ、「政権のたらい回し」になる。そうなれば、国民に信を問うほかなくなり、7月の衆参ダブル選挙に向かうしかないという筋書きだ。
半面、鳩山首相は普天間問題を先送りして首相の座に居すわることもできる。しかし、それでは参院選の大敗は目に見えている。
特集では、「民主惨敗 第2党に転落」すると予測した。同誌のシミュレーションによると、民主党は101議席減らして207議席となり、自民党が僅差で第一党に返り咲く。再び政権交代が起こるという。
たしかに、世論調査でもそんな気配はうかがえる。鳩山内閣の支持率低下に引きずられ、政党の支持も低下。朝日新聞の調べでは、参院選の投票先は、民主党は前回(3月)から6ポイント下落の24%だった。自民党も20%で1ポイント下がったが、その差は縮まった。みんなの党が1ポイント増の7%、立ちあがれ日本が1%、「わからない」と答えた人は39%と2ポイント増えた。
一方の自民党も、与謝野馨前財務相らが離党して平沼赳夫氏らと「たちあがれ日本」を立ち上げるなど、ゴタゴタが続く。谷垣禎一総裁の求心力が弱く、「第1党」としては心もとないようだ。世論調査で「首相になってほしい人」ナンバー1の舛添要一前厚労相も「オオカミ中年」とまで揶揄される始末で、決め手を欠いている。