百貨店で宝飾品、美術品、高級ブランド品といった高額商品の売れ行きが回復している。株価上昇による資産効果もあって、富裕層が財布のひもをゆるめているからだ。高級外車も売れ出した。
高島屋は美術・宝飾品・貴金属の2010年1月売上高が前年同月比14.4%と大きく伸びた。2月は前年を下回ったが、下げ幅が1ケタにとどまった。3月は宝飾品のみ5%近く上回った。
百貨店の売上高は株価と連動する
高島屋広報担当者は、
「百貨店の売上高は株価と連動します。リーマンショック以降、高額品を中心に痛手を受けましたが、株が戻ってきたために売れ行きも回復しているんです。その傾向は09年12月頃から見られます」
と話している。
美術・宝飾品・貴金属のほかに高級ブランドの衣料雑貨や呉服も「だいぶ戻っている」。ただ、高額品に限ったことで、百貨店の売上げの大部分を占める衣料品には波及していない。
「大丸」と「松坂屋」を傘下に持つJ.フロントリテイリングも高額品が売れ始めている。松坂屋は美術・宝飾品・貴金属の10年1月売上高が前年同月比5.9%増、2月は1.2%増だった。大丸も美術・宝飾品・貴金属が1月は4.8%増、2月は2.6%増。3月は合わせて2.7%増だった。
J.フロントリテイリング広報担当者は、
「外商を中心とした高額品の売れ行きに手応えが出てきました。株価が上がってきて、富裕層が心理的にプラス思考になっているのがうかがえます」
といっている。
売上げ構成比に占める外商の割合は、大丸が14.6%、松坂屋が33.7%。高額品の中でも高級時計がよく出るが、1000万円クラスの動きはまだ鈍く、売れているのは100万円台の時計だ。
店頭では高級ブランド品が09年末から売れ行きが回復している。しかし衣料品は天候不順の影響もあって、厳しい状況が続いている。