国土交通省が発表した高速道路の新たな料金制度をめぐり、野党のみならず「身内」であるはずの民主党内部からも、次々と批判の声があがっている。
本来ならば法案を通す側の衆院国土交通委員長までも法案に反対するというのだから、政権内の亀裂は深まるばかりだ。
四国選出の民主党国会議員10人見直しを求める
国交省が2010年4月9日に発表した計画では、休日は1000円で乗り放題の、いわゆる「1000円高速」が廃止され、普通車の場合は上限2000円の通行料金になる。「深夜割引」も廃止される。さらに、本四架橋については、競合するフェリー会社などに配慮した結果、さらに1000円上乗せした、3000円という料金設定だ。つまり、本四架橋の料金は、現在の休日料金から3倍に値上げされる形だ。また、一連の割引制度廃止で浮いた財源の約1.1兆円を、高速道路の整備にあてる。
この計画は、参院選を視野に入れた民主党が09年12月に政府に対して提出した「重点要望」を踏まえた結果出来上がったものだが、当の民主党内部から、反対の声が続出している。
本四架橋の3000円という価格設定に噛みついているのは、仙谷由人国家戦略相(衆院徳島1区)。4月11日に地元、徳島で行った街頭演説で
「四国の人々が納得できる料金体系に変えさせる」
と述べ、4月13日には、仙谷氏をはじめとする四国選出の民主党国会議員10人が会合を開き、前原誠司国交相に見直しを求める方針を決めている。
さらに仙谷氏は、14日の衆院内閣委員会で、自民党の平井卓也衆院議員(香川1区)に
「さすが仙谷大臣」
「一緒に四国の議員として行動する考えはあるか」
などと持ち上げられると、「一議員としての発言」と断った上で、
「別の木戸銭(入場料)を払わないと四国に帰れない、あるいは四国から本土に行くときも別の木戸銭が必要だということは、あってはならない仕組み。全国『一気通貫』で走れるような仕組みでなければならない」
などと持論を繰り返した。これに対して、委員会に出席していた馬淵澄夫国土交通副大臣は、
「本四の料金体系のみならず、すべての料金体系については皆さんの意見を聞きたいと考えている」
などと答弁するにとどまっている。
国交省で開かれた政策会議で「反乱」
四国選出でない議員からも、疑問の声はあがっている。例えば今井雅人衆院議員(比例東海)も、ツイッター上で
「地元では高速道路を生活道路に使っている人から、新しい料金にたいして、激しい怒りの声。この声しっかり政府に届けなければ」(4月13日)
「無料化と言っているのに、一時的かもしれなくても、値上げになるところが出来るような制度を採用するのはおかしいとおもっています」(4月14日)
と書いている。
さらに、本来ならば法案を通す側のはずの川内博史衆院国交委員長が、4月15日に国交省で開かれた政策会議で「法案を通さない」と発言していたことも明らかになり、波紋が広がっている。前原国交相は、
「粛々と進めさせていただく」
と理解を求める一方、平野博文官房長官は、
「政策会議を行って議論を積み重ねたもので、法案を出す以上は何が何でも通していただきたい。通すとか、通さないとかいう議論は理解に苦しむ」
と、不快感をあらわにしている。