ウイルスを撃退するはずのセキュリティソフトをインストールしたら、「パソコンが不具合を起こして起動しなくなった」――。「ウイルスセキュリティ ZERO」が人気のソースネクストに、こんな苦情が相次いだ。
パソコンの不具合の発生は4月10日14時ごろのアップデータによるもので、数100件の問い合わせが寄せられた。
初心者にも「使える」人気シリーズ
ソースネクストが販売するウイルス対策ソフト「ウイルスセキュリティ」シリーズは、同社の「主力商品」だ。2010年3月のパソコンセキュリティソフトの製品別販売本数シェアで、「ウイルスセキュリティZERO 1台用ウインドウズ7対応版」は4.5%で6位につけている(ジェイエフケーマーケティングサービス ジャパン調べ)。
一般に、セキュリティソフトは有効期限が切れると更新料が必要になる課金型が主流だが、「ウイルスセキュリティZERO」は更新料がかからない。安価で、ウイルス検知やウイルスの駆除なども自動化されるため、初心者でも手軽に使えることから販売は好調。4月10日には、ユーザーが670万人を突破した。
ところが、不具合の原因となったプログラムが自動アップデートされたのが、その日だった。
同社の説明によると、「インテル製のチップセットを搭載し、Intel Matrix Storage Manager driver(AHCI driver)のごく一部のバージョンを使用しているパソコンユーザーに不具合が発生しました。4月10日14時ごろから12日14時ごろに使用し、かつ12日24時ごろまでにウインドウズをシャットダウンした場合に、パソコンが起動しなくなるなどの現象が起こった」という。
ただ、「限られた、特定の条件のユーザーに起こったこと」で、ソースネクストは、実際に不具合が生じたのは1000人規模としている。
ウイルスがはびこり更新頻度が増える
ソースネクストは4月13日、ユーザーに不具合の解決方法をホームページで知らせた。同社が事態を把握したのは12日14時ごろなので、その日のうちに解決できた。同社は「12日24時以降は、問題点を修正したプログラムを自動アップデートで配布済みで、今後、新たに発生することはない」と話している。
ネットワーク上などには多くのウイルスがはびこっていて、ウイルス撃退ソフトはパソコンユーザーに欠かせなくなってきている。かつては大手企業で、新たなプログラムをインストールした後に障害を起こすことがあったが、最近は大規模障害こそ減ったが、「うまく動かない」などの細かなトラブルは度々あるという。
その多くは新商品の発売時に発生。メーカーは、実験機で実際にインストールして不具合が起こらないかチェックしている。それでも「事故」は起きる。日々登場する新型ウイルスに対応するため、セキュリティソフトの更新頻度が増えていることが影響しているからだ。