コーヒーチェーンを展開するスターバックス コーヒーが、新たに家庭などでも手軽に飲める、レギュラーでないスティックタイプコーヒーの市場に参入する。構想から20年もの歳月をかけたというスティックタイプの高級コーヒー、「スターバックス ヴィア(R) コーヒーエッセンス」が日本に上陸する。
スティックタイプのコーヒーはここ数年で、ブラックやカフェオレ、カフェモカなど、さまざまなフレーバーが続々と登場。今回のスターバックス参入で競争はさらに激化しそうだ。
本社会長じきじきPRに来日
スターバックス コーヒーは、「スターバックス ヴィア(R) コーヒーエッセンス」発売前の2010年4月13日、東京都内のホテルで発売記念イベントを開いた。米本社のハワード・シュルツCEOがじきじきに来日する力の入れようで、新商品を手に、「長年の研究と、そこから得た独自のロースト製法によって、革新的で、スターバックスの味に恥じないテイスティングを生み出した」と、胸を張った。日本は、09年秋の米国とカナダ、10年3月の英国に続き、世界で4番目の発売となる。
店舗でドリップしたコーヒーを飲むのと同じように、自宅やオフィスでも本格的な味わいを楽しみたいという人は少なくない。「スターバックス ヴィア(R)」は、コロンビアとイタリアン ローストの2種類のフレーバーを用意。店舗で使用している同じ高品質のアラビカ種の豆を100%使用しているので、「スターバックス本来の香りと味わいを提供する」(シュルツCEO)としている。
全国約900のスターバックスコーヒーの店舗で、4月14日から発売する。4月18日までの5日間は、「テイストチャレンジ」キャンペーンを展開。来店して、実際に「ヴィア」とふだん店舗で提供しているドリップコーヒーとを飲み比べてもらうイベントだ。
ドリップコーヒーと飲み比べても違いがわからない
米国での「テイストチャレンジ」キャンペーンでは、「90%超の人がその味の違いがわからなかった」と、シュルツCEOはいう。4月13日の発売記念イベントの会場でも「飲み比べ」が催されたが、ゲストの女優、寺島しのぶさんをはじめ、多くの人がわからなかった。
最近は景気悪化による節約志向が追い風になって、コーヒーも「ウチで飲む」傾向が高まっている。マーケティング調査の富士経済によると、2009年のスティック(プレミックス)タイプのコーヒー市場は前年比20.5%増の223億円に上るなど、急成長している。
スティックタイプのコーヒーはこれまで、味の素ゼネラルフーヅやネスレ日本、片岡物産などの食品関連メーカーや商社が販売してきた。かつては、お中元やお歳暮などの贈答品にも多く使われていたが、最近は味にうるさい「コーヒー好き」が増えて、「おいしさ」が重視されるようになった。お湯に溶けて簡単に淹れられるとあって、いつでもどこでも手軽に、ドリップで淹れたようなコーヒーを味わいたいという、愛好家などに受け入れられている。
スターバックスのシュルツCEOは「コーヒー業界全体を革新するつもりだ」と語り、自信を示した。