東京・JR有楽町駅のガード下の飲み屋に異変が起きている。「オヤジ天国」だったのは昔の話で、最近は女性客の姿が目立つようになった。有楽町に限らず、居酒屋に1人で通う女性も珍しくない。
有楽町駅を出て、ガード下を新橋方面に進むと、昔ながらの小さな飲み屋が軒を連ねる。「昭和」の雰囲気を保つ数少ない場所だ。1人3000円もあれば飲み食いでき、昔から会社帰りのお父さん達でにぎわっている。
時間帯によって半分以上が女性
ところが、近年ちょっとした変化が進行している。ガード下で50年以上営業している「登運とん(とんとん)」。焼き鳥や串焼き、もつが売りで、年中無休で昼間も営業している。記者が平日午後5時頃に店をのぞいてみたら、狭い店内は満席で女性客の姿もあった。
「2、3人の女性グループがよく来ています。3割が女性で、時間帯によって半分以上が女性ということもありますよ」
と店長はいう。
女性客の年齢は20~50歳代と幅広い。近くに勤めている会社員や映画館帰りに立ち寄る年配の常連客など様々だ。ちょうど店を出てきた20歳代と30歳代の会社員女性2人組に話を聞いた。
「会社を抜け出して飲んでいました(笑)。といっても徹夜明けで、上司が帰っていいと言ってくれたんで。2時に店に入って3時間くらいいましたね。昼間から飲めるし、焼き鳥も食べたかったし、使い勝手がいいんです」
30歳代の女性はほろ酔い顔で、こう明かした。ガード下の飲み屋には何度も来たことがあるそうだ。20歳代の女性も3回目だという。
新鮮な魚介類を低価格で味わえる「新日の基(しんひのもと)」はガード下には珍しい2層造りで、天井は低いが100席ある。イギリス人のオーナー、アンディさんは「女性1人で来る客も結構いますよ」。また、単価が安いので不景気の煽りを受けることもなく、「いつも満席」だ。