ラジオの試験ネット放送 「ラジコ」が「想定外」人気

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   AM・FMラジオ放送をインターネットで聞ける「ラジコ(radiko.jp)」が話題を集めている。ラジオ局が流している番組を、インターネットを通じてリアルタイムで楽しめる「IPサイマルラジオ」という形式を採用。当初はパソコンからラジコのウェブサイトに接続して聞く方式のみだったが、アイフォーン(iPhone)向けのアプリケーションも登場して受信方法も広がり始めた。

   現在は試験的に配信しているラジコだが、その後の実用化も視野に入れている。ある調査では、IPサイマルラジオが実用化されたら利用しようと考えている人は6割以上に上っており、期待は高い。

配信エリアは「IPアドレス」で振り分け

   ラジコは、在京の民放ラジオ7局と在阪の6局の地上波ラジオ放送を、コマーシャルも含めそのまま流している。在京7局は東京、神奈川、千葉、埼玉が、在阪6局は大阪、京都、兵庫、奈良がそれぞれ配信エリアだ。ラジコのウェブサイトにアクセスし、在京なら「文化放送」「TOKYO FM」など各局名が並ぶ下にある「listen now」の表示をクリックするだけで、放送が始まる。

   配信エリアは、「IPアドレス」によって識別される。ネット上のコンピューター1台1台に割り振られた「住所」のようなIPアドレスで、どの場所からアクセスしてきたかが分かる仕組みだ。例えば北海道在住者の場合、配信エリア外のIPアドレスをもつため、ラジコのサイトにアクセスしても「エリア外なのでサービスは受けられません」と画面に表示され、ラジオは聞けない。

   ラジコを運営する「IPサイマルラジオ協議会」によると、都市部を中心に高層建築が増え、雑音源も増えてラジオを聞く環境が悪化したため、パソコンで誰でも雑音に煩わされずにラジオ番組を聞いてもらおうというのが目的。ラジオ受信機の利用が減少しているため、パソコンで聞くという選択肢を増やして聴取者増を目指すというもくろみもあった。2010年3月15日の「開局」直後は、アクセスが殺到して受信しにくい状態が続くほどの人気ぶりをみせた。

ラジオ業界の底上げに期待高まる

   ネット調査を手がけるアイシェアは4月6日、IPサイマルラジオに関する意識調査の結果を同社サイトで公表した。回答を寄せた478人のうち、IPサイマルラジオが実用化したら利用したいかを尋ねたところ、「ぜひ利用してみたい」「利用を検討してみたい」を合わせて66.3%に上った。一方、普段ラジオ放送を聞いているかとの質問には、「よく聞く」が9.6%、「たまに聞く」も15.9%にとどまっている。現在はラジオから遠ざかっている人は少なくない半面、「ネットラジオ」へは期待の高さがうかがえる。

   「特に若者の間でラジオ離れが進んでいる今日、『1回聞いてみようか』と思わせる機会をつくりたかった」と話すのは、IPサイマルラジオ協議会事務局を担当する電通ラジオ局の青木貴博氏。予想を超えたラジコへのアクセス量に、「思った以上にラジオを聞きたい人がいたことが分かり、今後業界の底上げにつながるのではと期待しています」といい、手ごたえを感じている様子だ。

   ミニブログ「ツイッター」では、「今日もご飯作りながらTFMだ。radikoさまさま」「京阪乗る人、おけいはん のコマーシャル!!!on FM COCOLO なう!」と、ラジコについてつぶやく人が多い。4月6日には、アイフォーンでラジコを聞くためのアプリケーションが2種類公開された。パソコンからスマートフォン、さらには4月末に発売予定の「iPad」でも聞けるようになれば、ラジオの本格的な「復活」もあるかもしれない。

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