保険料率の引き下げは既定路線?
そもそも、保険料率の引き下げが遡上に上るのは既定路線。90年代後半以降に金融機関の破綻が続くと、責任準備金の取り崩しが進み、02年度には準備金に4兆円の欠損が生じた。しかし、金融不安が一服して10年度には欠損が解消される見通し。それを機に預金保険機構は、保険料率についても将来の引き下げが可能か検討を始める機運が出ていた。このため、「料率引き下げで、民間金融機関に恩を売ることにはならない」(大手行幹部)としらけたムードも漂っている。
亀井担当相は2月にも、信金・信組についてはペイオフ(預金の払戻保証額を元本1000万円とその利息とする措置)の上限を上げて郵貯への預金流入を防ぐ考えを提案した。中小金融機関を取り込んで郵貯限度額引き上げの流れを定着させる考えだったが、「地銀なども同様にペイオフ上限が引き上げられれば、小規模金融機関からの預金流出が加速する」と信金・信組が反発、撤回した経緯がある。
郵政改革を巡る閣内のしこりが残る中、亀井担当相から投げられた癖玉にどう反応するか。民間金融機関は慎重に検討している。