東京証券取引所第1部で、動画投稿サイトのニコニコ動画を運営するドワンゴがエイプリルフールのネタとして流した「ニコニコ動画の黒字化」の情報が、投資家のあいだで波紋を呼んでいる。ウソを真に受けて投資した人が少なからずいたようで、ドワンゴ株は急上昇。これが「風説の流布」や「相場操縦」にあたるのでは、という人もいる。
2010年4月1日の株価は、終値で前日比5000円高の16万2700円。相場の勢いをみる出来高は3524株で、最近1週間の出来高を比べてもほぼ2倍になっていた。
情報が「ひとり歩き」してしまった
ドワンゴのエイプリルフールネタは毎年のことだが、今年はちょっといただけなかったかもしれない。ニコニコ動画のトップページや、動画や生放送などに流れるコメントをすべてモノクロにし、ニコニコニュースで「本日つい先ほど、ニコニコ動画が黒字化しました。動画のコメント、トップページを始めとした各所で、すでに影響が出始めています。また、長年の悲願であった黒字化達成に、早くも各界からお祝いのコメントが届いているようです」という内容が、4月1日午前0時から丸1日掲載された。
冷静に考えれば、そもそも決算発表のタイミングでないことや、「黒字化をやめる」「普通に戻す」をクリックすれば、通常のコメント欄に戻る仕掛けを設けていたので、ニコニコ動画にアクセスすれば、情報がすぐに「ネタ」とわかったのだが、どうも「黒字化」の情報がひとり歩きして投資家の耳に入ってしまった可能性がある。
ニコニコ動画の黒字化は、ドワンゴにとって収益上の大きな課題なので、本当に黒字化したのであれば、投資家の買いが進んで株価が上昇しても何ら不思議はない。それだけに、「(エイプリルフールとはいえ)行き過ぎ」との批判の声も漏れている。
Yahoo!掲示板にも、
「なんか不穏な空気が流れ始めましたね。本当に黒字化が発表になるとしたら金曜日の大引け後でしょうが、これを待ってなにもなければ、オチのない悪質な洒落で終わりそうです」
「賛否両論ありますけど、たぶん黒字化してるんじゃないですか?もしシャレでそんな事言ったら、どうなるか馬鹿でもわかりますもん。そんな馬鹿じゃないでしょう。そう祈りたい」
といったカキコミが寄せられている。