不況の時代に「龍馬病」患者が増える
いまや日本中が龍馬にあやかろうと懸命。経済も政治も、神頼みならぬ、龍馬頼みだ。 地元の高知県や龍馬最期の地である京都府はもちろん、亀山社中を置いた長崎県や海援隊の船が沈んだという広島県福山市、龍馬と妻のお龍が日本最初の新婚旅行に出かけた鹿児島県霧島市、幕府軍終焉の地で、龍馬が開拓をめざしたとされる北海道函館市にも「龍馬記念館」がオープンした。
自らが「坂本龍馬」になりたいと言って自民党を離党した鳩山邦夫衆院議員は、政治スタンスの違う舛添要一・前厚生労働相と与謝野馨・前財務相を「薩長」にたとえ、両者を結びつける接着剤の役割を買って出た。倒幕(民主党を倒す)のため、「薩長」連合成立(新党立ち上げ)に向けて「捨石になる」といい、まるで「平成の龍馬」気取りだ。
そんな中で、龍馬ブームを冷静にみている人もいる。ペーパーカンパニー&キナックスホールディングスの中村修治社長は、自社のサイトで「(龍馬ブームは)高学歴で、自称『実力を発揮できていない』人たちの良い逃げ道になっている気がする」と記している。「リーダーになれない、リーダーとして望まれない。その裏返しとしての『龍馬病』。だから、不況の時代に(企業の)業績が悪くなるほど、そこそこできる奴たちは『龍馬病』を患う」と指摘する。