生で、煮て、炒めて、ピューレにして、いろんな食べ方ができるトマトに注目が集まっている。全国から50種以上を集めた専門店も登場した。ひとつ数百円という高級トマト揃いにもかかわらず、売り上げが伸びている。「トマトラーメン」も女性や中高年に人気だ。
トマト専門店「セレブ・デ・トマト」は生トマトと、スイーツ、ジュースなどの加工品を販売。レストランを併設してトマトづくしの料理も提供する。2010年2月に横浜ワールドポーターズ内に、4月1日に二子玉川の玉川高島屋S・C内にオープンし、全7店舗を展開する。
男性のトマト好きも増えている
生トマトの中心価格はひとつ300円で、もっとも高いのは1000円の高知県産「徳谷トマト」。緑色や黄色のトマトや甘いフルーツトマトなど50種以上を扱う。詰め合わせセット「トマトの宝石箱」は600グラムで5000円だ。
全5店舗の2009年売上高は前年比30%増の約5億円だった。20歳代後半~30歳代のOLや中高年の夫婦に人気が高い。最近は男性のトマト好きも増えている。
「セレブ・デ・トマト」を運営するブランドジャパンの吉本博隆代表取締役は、
「トマトを並べて売るだけではなく、レストランで前菜からデザートまで提供することでトマトファンがリピートするようになりました」
と話している。
生で食べられるほかに、「煮る」「炒める」「揚げる」ができる「万能食材」だ。注目を集めるきっかけになったのは約10年前に登場したフルーツトマト。高値で取引されることから全国の生産者がこぞって栽培を始めた。
吉本代表がトマトに目を付けたのはこんな理由もある。06年7月に会社を設立する前は農業、農村分野のコンサルタントとして全国の自治体で直売所を立ち上げた。「トマトがおいしいのでわざわざ買いに来た」というお客をよく見かけて、ビジネスとして成立すると考えた。また、「おいしくないトマトが数多くある」と不満をもらすお客もいて、「選ぶ難しさ」を感じていた。
トマトをスープに使ったラーメン
世界で8000種、日本では100種以上が生産されているトマト。国内の市場規模は2000億円を超え、ひと頃話題になった岡山県産「桃太郎」や愛知県産「ファーストトマト」のほかにも日々新品種が出回っている。
吉本代表は、
「海外と比較すると日本のトマト消費量はまだまだ低い。これから本格的に広がると思っていますので、セレブ・デ・トマトが果たす役割は重要だと考えています」
と意気込んでいる。
トマトをスープに使ったラーメンも登場し、人気となっている。東京と神奈川に16店舗を展開する「太陽のトマト麺」。運営するイートアンド(大阪市)の広報担当者は、「ナス、枝豆、キャベツ、白菜などの野菜を試したところ、トマトが一番おいしかったから」と話す。
09年の売上高は前年比42%増の10億5000万円。「ラーメンなのにヘルシー」と若い女性や健康志向の中高年の支持も集めている。10年4月23日に町田東急ツインズ内にトマト麺とピザが食べられる店をオープンし、将来は20店舗まで拡大する予定だ。