今や、夫婦の3割が離婚する時代。そのせいもあって、離婚ビジネスも急拡大している。離婚問題を専門に扱うカウンセラーや弁護士、行政書士も出現、結婚式ならぬ「離婚式」を挙げる新しいサービスも登場した。さらに、離婚をシミュレーションできる携帯ゲームも人気を集めるなど、「離婚ビジネス」は花盛りだ。
2009年4月に「離婚式」を日本で初めてプロデュースしたのが、離婚式プランナーの寺井広樹さんだ。再出発を誓い、後腐れなく別れようという「前向き」な式で、家族や友人など参列者の前で離婚に至った経緯を説明し、養育費などの決め事をみんなの前で明かす。費用は要望によって異なるが、平均5~6万円だ。
ハンマーで結婚指輪をたたき割る
これまで、6組が離婚式を挙げ、平均年齢は35~36歳だ。
メインイベントはハンマーで結婚指輪をたたき割る儀式。嫌なことをすべて吹っ切れるらしい。実際には割りやすいアルミ製の指輪を用意するが、本物の結婚指輪が持ち込まれることもある。
寺井さんの知り合いの式を行ったのが最初で、参列者の中から「おもしろかったので自分達の時にもお願いしたい」と依頼があり、プランナーとしての仕事につながった。中には結婚当時を思い出して「もっとがんばろう」と復縁した夫婦も2組いる。
旅行会社フレンドリートラベルと組んで、「離婚式ツアー」も2010年3月28日に始めた。浅草寺(東京・浅草)の二天門前から夫婦別々に人力車に乗って、会場となる「離婚屋敷」に向かう。カエルのオブジェ「Re:婚がえる」が展示されていて、たたき割った指輪を口の中に入れると「福が返る」というワケだ。
費用は夫婦も参列者も1人3000円。ツアーの様子が報じられると、「離婚を考えている」とか「参列してみたい」といった問い合わせがたくさん寄せられた。2回目のツアーもすでに決まっているそうだ。
離婚シミュレーションができる携帯ゲーム
離婚ビジネスが続々登場している背景には、離婚そのものの増加がある。厚生労働省によると離婚率は3割にも上り、40年前と比べて4.5倍に増えた。
ネットで検索すると離婚問題を専門に扱うカウンセラーや弁護士は何人かいる。男性向けの離婚窓口「阿部オフィスの男の離婚相談」を開いているのは行政書士の阿部マリさん。弁護士と連携して離婚協議書などを作成する。依頼は年間1000件にのぼる。
「離婚に悩む人の割合はどんな時代も変わりません。ただ傾向としては、景気の良い時の方が離婚が成立しやすい。離婚とは自立すること。女性は専業主婦だったりパートタイムだったりするので、仕事を見つけやすいのはやはり景気が良い時ですからね」
といっている。
離婚をシミュレーションできる携帯ゲームもある。「できちゃった離婚」は4つの物語でそれぞれ妻と夫を演じる。離婚になるか復縁するかはプレイヤー次第だ。ゲームを配信したのは08年12月。配信元のビービーエムエフ広報担当者は「今ではすべてのキャリアに配信されていて、人気です」と話していた。