「日本で今後見直す動きが出る」と断言
日本で批判的な人が増えていることについて、マグスルの新谷卓也社長は、マスコミの影響もあると指摘する。
事業縮小のお知らせでは、「個人の思い」として異例の長文を掲載した。それによると、ブームのころは、楽しさよりビジネスに報道の力点が置かれ、「お金が儲かる次世代インターネット」と盛んに流された。セカンドライフには、友だちとチャットを楽しみ、様々な教室で新しいことを学ぶなどの楽しみがあるという。それが先入観で歪められてしまって批判的な見方が広がり、セカンドライフを見たり理解したりしていないのに「もう終わった」と報じられたというのだ。
新谷社長は、取材に対し、セカンドライフには楽しい部分がたくさんあるとして、「日本で今後見直す動きが出る」と断言した。
「ケータイの各種サービスでも、最初はアバターを作るだけだった個人ユーザーが、それを動かしてコミュニケーションを楽しむようになっています。慣れてきてアバター利用への要求は高度化すると予想され、いずれパソコンでも楽しむと考えています」
セカンドライフ事業も撤退を決めたわけではなく、個人ユーザーへのリンデンドル販売は落ち込んでおらず、今後も続けていくという。同社によると、この部門は、事業の8~9割を占めている。レンタル事業についても、「Shinjuku SIM」など3地区を建物付きレンタル中心にするなど、様々な方向性を試す。
もっとも、エロやギャンブルのスポットさえ利用が低迷していただけに、どのようにして盛り上げるというのか。新谷社長はこう説明する。
「ツイッターなどリアルタイムのネットコミュニケーションが普及してきたので、3Dアバターの選択肢も今後大きくなるはずです。例えば、インディーズミュージシャンのライブは限られた人たちのものでしたが、アバターなら時間や距離を超えてライブを楽しめるようになります。アバターが身近になれば、その楽しみが自然に分かってくると思っています」