米軍普天間基地の移設問題や郵政改革法案をめぐり、閣内のバラバラと不一致が拡大している。「3月末」としていた政府案をまとめる期限を鳩山首相が覆したほか、郵政事業の見直し法案についても、亀井郵政・金融担当相と他の閣僚との溝は深まる一方だ。野党やメディアからは、「学級崩壊」という、ありがたくない命名すら出始めている。
郵政問題をめぐっては、2010年3月28日朝放送のテレビ朝日系「サンデー・プロジェクト」最終回で披露された亀井静香郵政・金融担当相と菅直人財務相とのやり取りが、2人の溝の深さを象徴している。
「数字は聞いてませんって」
預け入れ限度額を2000万円に引き上げるという「数字」を聞いていないと主張する菅氏に対して、亀井氏は「電話で言ったでしょ」と反発。菅氏は「数字は聞いてませんって」と言い返し、スタジオには険悪な雰囲気がただよった。
週明けも状況は大きくは変わらず、3月29日の参院決算委員会の場で、菅氏は
「亀井大臣と原口大臣が、発表される前の日の夕方に、確かに電話をいただきましたけど、消費税に関することとか、数字に関することは特にありませんで…」
「当然、そういう(数字を含めた)中身の了解ということであれば少なくとも、文書を事務方を通していただかなければ、というのが多分常識的なことなのではないでしょうか」
と亀井氏を間接的に批判した。
仙谷由人国家戦略相も、3月30日、「経済運営の基本的方針を預かる立場だが、まったく議論なしに法案が作られるのは想像できないから申し上げている」と、反発を続けている。
TBS系「朝ズバッ!」で「学級崩壊」特集
閣内がバラバラなのは郵政問題だけではない。鳩山由紀夫首相は、普天間基地の移設問題について、3月26日の記者会見で、
「交渉させていただくときに、当然ながら政府案としてひとつにまとまっていないといけない3月いっぱいをめどにしながら、政府案をまとめる努力をしている」
と、政府案をまとめる期限を3月末と明言。ところが3日後の3月29日には、
「今月(3月)中でなければならないということは、別に法律で決まっているわけではない」
と、あっさり撤回してしまった。
これには、カナダ中の岡田克也外相の意向が反映されているとの見方もある。実際、3月29日に行われたクリントン国務長官との会談では、岡田外相は
「鳩山首相も、5月末までに決着させたい決意を示している。日米間でさらに議論したい」
などと伝えたとされている。
一連のトラブルをめぐっては、野党やメディアからの批判の声も急速に高まっている。
自民党の大島理森幹事長は、3月30日の役員会で、鳩山首相については「日替わりメニューみたいに話をしている」、内閣については「学級崩壊的な議論がされている」と酷評。
同日朝のTBS系「朝ズバッ!」でも、菅氏と亀井氏の一連のやりとりなどを「学級崩壊」として特集した。
一連の問題をめぐっては、3月30日の閣僚懇談会で議論が行われているが、これで事態が収束するかどうかは不透明だ。